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日本人はどんな大地震を経験してきたのか―地震考古学入門

2011年の東北の大震災後,昔にも同じような巨大地震津波が発生して2011年と同じように広範囲に津波浸水した履歴がある,ということが話題になり,地震考古学という分野がより注目されるようになりました(と思います)。
この分野の第一人者の先生が2011年に(多分急遽)書かれた新書です。
「第一章 地震はどうして起きるのか」では,プレート活動や活断層のお話など,どのようにして地震が起こるのか,なぜ日本では地震が多いのか,ということを図なども含めて分かりやすく解説しています。
「第二章 地震によるさまざまな災害」では液状化現象など地震が物理的に引き起こす被害について概説しています。写真が多くてこちらも分かりやすいで。この章では,地震考古学を立ち上げたきっかけにもふれられています。つまり,地震被害調査をするにあたり,地震発生直後は液状化したところの噴砂も見られるが,詳しいことを知るためには地面を深く掘り下げる必要がある→でも地面を深く掘るのには手間がかかるし~→考古学の遺跡発掘現場なら,地面を深く掘り下げてるじゃん!ということに気が付く→地震考古学を創設,ということだそうです。
考古学の発掘現場で地層を観察するのに加え,地震や噴火に関する史料も併せて検討,という大きく分けて2系統の方法を組み合わせるのが地震考古学なのかなと拝見しました。
「第三章 繰り返す海溝型巨大地震──地震考古学で読み解く(1)」以降は,地震考古学の研究成果が惜しみなく記述されまくっていて,歴史トリビアというか,ええ~歴史上の出来事や人物を地震と絡めて見るとこんなことがあるのか~と興味深いです。
あまり沢山の事柄を詰め込んでいるせいか,話があっちこっち行ってしまうこともあるのですが,自分の土地勘のある地方のお話は非常に興味深く読めます。
例えば,琵琶湖の成り立ちについて,平易に淡々と書かれているのですが・・・

p.140
断層活動で隆起した西側が比良山地となり,沈降した東側の低地が満々と湖水を蓄えました。この巨大な水溜りは,周囲から流れこむ河川が運んだ土砂で,少しずつ埋められます。しかし,埋めきらないうちに次の地震(断層活動)で沈むので,巨大な湖として存続しつづけているのです。

さらっと読めてしまいますが,コワイです。