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教育心理学(朝倉心理学講座8)

教育心理学 (朝倉心理学講座)

教育心理学 (朝倉心理学講座)

執筆されている先生方の文章が読みやすいのがまず印象に残りました。
学識の蓄積を噛み砕いて示す、よくできた新書レベルの書き方ではないか?と拝見しました。
もう古臭くカビてしまった学部時代の教職の教育心理学の内容をアップデートするのにとてもよかったです。
教育心理学というのは発達心理学や認知心理学等、複数の心理学分野の知見をバランスよく(主に学校)教育の実践に活かすことを目的とした”応用心理学”のひとつであるということが改めて認識されました。学校(初等中等)の先生には、一度読んでいただきたい!実践のヒントになる箇所が絶対いくつかあるはずです!
冒頭に、文章が読みやすい、と書きましたが、その中でも「個性と社会性の発達」の章の前書き部分にとても感銘を受けました。生まれてから学童期までの流れをこんなに素敵にまとめられているなんて。少々長くなりますが該当箇所を引用します。

p.21
子どもが生まれたとき、体重を尋ねられることはよくあるが、身長を尋ねる人はほとんどいない。日常生活において新生児を評価する基準はなぜか体重だけである。しかし子どもが成長し、いろいろな行為ができるようになるにつれて、子どもを評価する基準も多様になってくる。
また、生活圏が家庭の中から外へ広がると、よその子どもと比べる機会が生じる。すると親は、子どもの食欲や体格だけでなく、性格や能力についても気になりはじめる。養育する側の要望や願望も広がっていくのである。それを実現させていくためには、養育に加えて教育が必要となり、家庭や親の力だけでは足りなくなる。子どもも、親といる生活だけでなく、家庭以外の遊び場やほかの子どもに対する興味が出てくる。
一般に、子どもに対する教育は年齢を契機としてはじめられ、同一年齢の集団で行われることが多い。教育はつねに人間の発達と密接に関連付けて考えられてきたからである。それぞれの家庭で親に守られ、育てられてきた子どもたちは、今度は自分と同じような子どもたちの中で、めいめいに育っていくことになる。家庭で親からの特別な愛情をかけられて育ってきた子どもは、家庭以外の教育の場に参加することで、新たな世界と出会う。自分だけが特別に愛される世界ではなく、自分もほかの子も平等に扱われる世界を知ることになる。集団の中でのかかわりや遊びを通して、子どもの個性と社会性は育まれていく。