闇(ダーク)ウェブ

闇ウェブ (文春新書)

闇ウェブ (文春新書)

複数の執筆者が書いておられるのですが、読んだときにはそんなことは全然感じられませんでした。とてもすっきりと編集されている印象です。
一般人に、「やみのウェブ」について分かりやすく解説し、問題意識を高めてくれるいい本だと思いました。
私も”一般人”なので、本書を読み、報道等で断片的に聞こえていた色々な語句がまとまりのある実体として感じられるようになった気がします。
色々「へぇ~」な内容が出てきます。たとえば、Torについて、

p.121
元々オニオン・ルーティングという技術は、1990年代半ばにアメリカ海軍調査研究所が開発したもので、さらにアメリカ国防高等研究計画局(DARPA)で研究が続けられた後、非営利団体が引き継ぎ、オープン・ソース(誰でもプログラムの参照・使用・改変ができる)の「Torプロジェクト」として現在も続いている。

p.121
そもそも、アメリカ政府はTorを敵視しているわけではなく、Torプロジェクトは現在もアメリカ政府とつながりがある。海軍調査研究所やDARPAといった軍関係の組織はすでに手を引いているが、アメリカ国防省民主主義・人権・労働局は現時点でもスポンサーの一つに名を連ねているのだ。

あと、本書を読んで感じたことは、言語障壁としての日本語です。
”英語ができない”人が日本に多いことは、よく言われているようにマイナスの面が多いかもしれないが、グローバルなヤバイことが即座に直接やってきにくい”防波堤”にもなっているのではないか?と。
ただ、日本には日本内での「やみのウェブ」(ネット犯罪組織)があることも触れられています。ネット犯罪もガラパゴスなのね。