ストレスと健康の心理学(朝倉心理学講座 19)

朝倉心理学講座〈19〉ストレスと健康の心理学 (朝倉心理学講座 19)

朝倉心理学講座〈19〉ストレスと健康の心理学 (朝倉心理学講座 19)

割と既知の内容が多いかな、と読む前は思いましたが、EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)の概要など、全然方向感覚ない分野があったので、読めてよかったです。
職務満足感と健康についての内容は興味をひきました。

  • カラセックの「仕事の要求度-コントロールモデル」

p.74
すなわち、仕事量は多いものの、自身の裁量で行える業務に携わっている場合には、職場での満足感が高く自覚されることが明らかにされている。

ちらほら、同じような方向性の論文を見ますね。ハードワークでも自己裁量が大きい(やりたいこと・好きなことができている?)仕事なら”やりがい”が得られるということでしょうか。

p.76
職場でのストレス要因が高い状況においても、従業員の専門性を発揮できる環境を整えて「能力発揮への満足感」の自覚を促すことや、上司のマネジメント方法や部下への対応などを見直して職場での「対人関係への満足感」の自覚を促すう(ママ)ことで、抑うつ感の低下が期待できることが示唆されたといえよう。
職務満足感に関するこれまでの実証的研究を展望すると、職務満足感は、精神的健康状態を直接的に向上させる機能だけではなく、職場ストレッサーがストレス反応に与える影響を緩衝するというストレス緩衝要因としての機能をももつことがわかるであろう。このように、職務満足感をストレス緩衝要因として捉えることで、職場ストレッサーをある程度自覚している場合でも、職務満足感を向上させることにより、ストレス反応の低減が期待され、職務満足感の臨床的・実践的価値が高まると考えられる。このような立場からの研究は、諸外国においても数多く認められ(Fisher & Locke, 1992; McLean, 1979)、職務満足感を緩衝要因として位置づけることの有用性が示唆されている。

ストレス緩衝要因として職務満足感を捉える見方は今までなかったので、新鮮です。