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寿命を10年延ばす―「乳がん専門医」の教え

インターネットで検索すると病気や医療に関する情報を集めること自体は容易にできますが,情報の質は玉石混交ですし,出会った情報が確かなものであっても整理されていない状態で目にするので,結果として効率が悪くなっている,ということもあるのではと本書を読んで感じました。
まず良質の解説本を読むのが結果的に最も効率がよいのでは,と実感しました。
例えば「トリプルネガティブ」,略して「トリネガ」という言葉を結構よく聞くのですが,何の事だかよく分からないままでした。
しかし,本書を読んだらすっきりと整理されていて,ああなるほど,だから”忌み嫌われている”風に書かれているのも分かるわ,と納得しました。長くなりますが,納得した「発展コラム(7) トリプルネガティブ乳がんんとは何か?」を抜き書きします。

pp.179-180
乳がんは,「ホルモン治療が効く可能性があるタイプ=女性ホルモン依存性乳がん」「ハーセプチン(分子標的治療薬)が効く可能性があるタイプ=HER2陽性乳がん」かどうかによって,次の四つのタイプに分類されます。
①「女性ホルモン依存性でHER2陰性の乳がん」
②「女性ホルモン依存性でHER2陽性の乳がん」
③「女性ホルモン依存性ではなく,HER2陽性の乳がん」
④「それ以外(=女性ホルモン依存性ではなく,HER2陰性の乳がん)
この最後の「それ以外」のものがいわゆる「トリプルネガティブ乳がん」です。
女性ホルモン依存性はエストロゲンプロゲステロンという2種類の女性ホルモンの反応性を見ています。このふたつの女性ホルモンとHER2のすべて(三つとも)が反応性なし(=陰性)ということで,「トリプルネガティブ」と呼ばれています。
トリプルネガティブ以外の乳がんは,どの治療が効く可能性があるかによって分類されていますが,トリプルネガティブはホルモン治療もハーセプチンによる治療も効かない,つまり抗がん剤しか効果が期待できない乳がんになります。
トリプルネガティブ乳がんというと,非常に性格の悪い乳がんというイメージがあります。しかし実際は,ホルモン治療とハーセプチンが効くタイプの乳がんを取り除いた「それ以外」という雑多なくくりです。もちろん,どんな抗がん剤もほとんど効かない,非常に悪性度の高い乳がんもここに含まれますが,逆に言うと,非常に抗がん剤治療がよく効くタイプのものも含まれているのです。
もしもあなたが「トリプルネガティブ乳がん」と診断を受けたとしても,トリプルネガティブであるという「入口だけ」で判断しないでください。今後は,さらに研究が進み,トリプルネガティブ乳がんも細かく分類されていくかもしれません。

その他にも,各種検査について分かりやすく書かれていたり,低い検診率をできるだけ上げて早期発見・早期治療を!という著者先生のお気持ちがよく表れているご本と拝見しました。