気づいたら先頭に立っていた日本経済

新着図書の棚で見かけて,タイトルにまんまと釣られて読んでみました。
ちなみに「先頭」というのは,”第1位”という意味ではなく,長期停滞する経済の”トップランナー(先行者)”という意味です。あんまり嬉しくないですね(笑)。
さて本書の内容は,そこまで楽観できるものかしら?と思いつつも,「遊民経済学」という独特のスタンスから放たれる言葉は,やわらか頭な感じです。
真剣に(熱心に)遊ぶということの価値と効用について改めて考えさせられました。
まあ肩肘張らずに気楽に読めばいいと思います。

p.16
そろそろ第3次産業を,楽しめるものとそうでないものに分類してみるといいのかもしれない。お役所仕事のように,しぶしぶ嫌々やらなきゃいけないサービス業を今までどおり第3次産業と呼び,お客さんがニコニコしているものを第4次産業と呼ぶことにする。そしてツーリズム(観光産業)やエンタメ関係,あるいはギャンブル産業なんかはこちらに分類することにする。この第4次産業を拡大していくと,経済活動のフロンティアが広がることになり,成長分野になっていくのではないだろうか。

p.29
思うにGDPという尺度は,一人あたりが1万5000ドルくらいまでは有効な指標であるけれども,3万ドルを超えたあたりから機能しにくくなる。3万ドルを超えて先進国になってくると,その国が目指す「豊かさ」は一様なものではなくなる。あくまでも所得の増大を目指すのか,それとも生活の質を求めるのか,国全体のインフラを重視するのか,あるいは環境との調和や個人の自由を求めるのか。それらは人生観や価値観によるものであり,それぞれの国民が選択すべき問題である。
特に日本の場合は,「高所得国の罠」といったら語弊があるけれども,20年くらい前から「さらなる豊かさを求める方向性」を定義できなくて困っているようなところがある。本当はそれがないわけではないのだが,もともとが貧乏性な国民なので,ついつい「おカネに換算できる価値」にこだわって苦労しているのかもしれない。