工学部ヒラノ教授の終活大作戦

工学部ヒラノ教授の終活大作戦

工学部ヒラノ教授の終活大作戦

工学部ヒラノ教授シリーズ2018年12月現在,多分最新刊です。
タイトル通り,長く闘病生活をされていた奥様を亡くされて後,ひとり自宅マンションに戻ってリタイア生活を始めたヒラノ教授の「終活」について,あれこれ書かれています。
目次を見ると,「健康対策」「遺言書」などいかにも終活らしいものと並んで「自殺計画」とか出てくるので,ドキっとさせられます。
けれどもいずれもヒラノ教授独特の飄々とした語り口は健在で,ええーっと思いながらもさらっと読んでしまいました。
ヒラノ教授に限らず,PPK(ピンピンコロリ)で,死ぬときは長患いせずサクッと逝きたいというのは,多くの人が望むところでしょう。
しかし,ヒラノ教授は養老孟司先生の『死の壁』を引用して,かならずしもPPKは望ましいものとはいえないとしています。

pp.19-20
”人間には三種類の死がある”と書かれていた。まずは一人称の死,すなわち自分の死。次は二人称の死,すなわち親族や親しい友人の死。三つ目は,自分には直接関係がない三人称の死である。
この本を読んで分かったのは,”一人称の死は,自分には認識できないので,考えてもどうにもならない。三人称の死は,自分には関係がないので考える必要はない。考えるべきことは,二人称の死だけだ”ということである。
(中略)
エンジニアたるものは,答えが存在しない問題や,自分では解けそうにない問題よりは,まず答えが出そうな問題,たとえば”自分が死んだときに,家族や親しい人たちに辛い思いをさせないためにはどうすればいいか”,を考えるべきなのだ。
この点から見れば,PPKは必ずしも望ましい死に方とは言えない。なぜなら,多くの未処理問題や大きな負債を残して突然死ぬと,残された家族が大迷惑するからである。
(中略)
この本で記すのはNNS,すなわち”望ましい二人称の死”を迎えるための,ヒラノ式終活作戦である。類書との差別化を図るため,これまでのヒラノ教授シリーズと同様,”具体的,定量的,かつ赤裸々*1に記述するよう心掛けた。

ヒラノ教授らしいです。
本書には,奥様と同じ難病で要介護5で声も失われながら,回顧録を頑張って執筆されておられる娘さんのことが出てきます。
彼女の療養費用を払い続けられるよう,平均寿命以上は生きよう,また遺言書をちゃんと書いておこうというようなことが書かれています。
しかし,「あとがき」で,本文完成後に娘さんに先立たれた旨が書かれていたのは,ショックでした。
でも大学を舞台にした小説を出版するために,まだまだ踏ん張るぞという感じでおられるのは,他人ながらほっとしております。
ヒラノ教授のオリジナル小説楽しみに待っております。


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ところで,何でこんなにヒラノ教授シリーズに惹かれるのかなあと思います。
ふと思い立ってヒラノ教授の本名で検索してみたら,Wikipediaに項目があり,そこに生年月日があったので,ホロスコープを作ってみると,太陽と月星座が一緒でした。
太陽と月で性格のかなりの部分が把握できるとすると,ヒラノ教授と自分はすっごく似た性格だということになります。
確かに,

  • 石橋を叩いても叩いても叩いてもなお躊躇するくらい,全方位万端の準備をして進むほどの慎重さなのに,22歳でサクッと学生結婚しちゃったり妙に大胆なところが混在
  • 情が深いのか薄いのかよく分からん対人距離のあり方(実際にはかなり義理堅い)
  • 飽くまでも定量的実用的実際的な姿勢(生活習慣等)
  • 一見にこにこしているようだけど他人からは何を考えているのか分からなそうなところ

とりとめもなく挙げてみた,ヒラノ教授シリーズからの印象,これは火の固定(獅子)と水の固定(蠍)が90度でぶつかっている結果か?と,改めて思わせられました。
月星座が一緒ということは,宿曜でも同じ「心」だし。
さらにヒラノ教授のN木星土星は合で,オーブをゆるくとると,自分のN太陽・月と,ヒラノ教授のN木星土星天王星がTスクエアを作るのです。
こりゃーヒラノ教授シリーズを読むことが自然と”修養”めくとともに,思いもしないヒントやアイディアを得られることにつながっているのかもしれないな!と思いました。
なるほどなるほど。

*1:太字箇所本文では傍点付き