- 作者: 佐古順彦,小西啓史
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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本書を読めばちょっとはつかめるようになるかな?と。
最初のページから以下引用します。
デ・ヤング(De Young, 1999)の簡潔な記述によると、環境心理学は、多様な環境を対象として、それらの環境に存在する不適切な人間・環境関係を改善するためのモデルを構築し、そして研究成果を環境デザインへとフィードバックする。基本的な研究態度として問題解決志向が強調されている。すなわち、環境問題だけに焦点を当てるのではなく、日常生活の中に人間環境の問題を見いだして、それらの解決や緩和を目指す理論と方法論を重視するのである
人間・環境関係を改善するための問題解決志向な心理学的アプローチというところは共通しているが,内容は様々である。言い換えれば,実用的であろうという方向は同じだが,モデルや方法は様々であるという印象です。
わけわからないよ・・・という箇所と,そうでないところの差が大きかったです(これは自分の問題が大きいですが)。
ちょっと面白かったな,というところを抜粋しておきます。
「3. 環境の評価・美学―景観を基礎として」の「環境心理学における環境美学」「黄金比」について:
p.61
黄金比の特性は「人々の美的好ましさを平均すると黄金比に近くなる場合が多い」ということで、それ以上でも以下でもないと筆者は考える。美しさに結びつくものとして黄金比の他にも対称(シンメトリー)やルート比などいくつかの規準律がしばしばあげられるが、なにか特定の比率で万人に共通するような「美」が決定されると単純に考えるのは危険かもしれない。
沢山の人の顔の平均をとって合成した「平均顔」が端正に見える,ということと同じなのかも。
「6. 住環境―人と住まい,地域の結びつきの研究」の「6.3 人と住まい・住環境の結びつき:領域性から場所への愛着へ」「場所への愛着」について:
色々な要素を含めた尺度を作るのはいいけれど,
p.121
ただ、その際、愛着の定義に従って「対象の喪失にともなう深い哀しみの感情」についての項目を含めるべきであろう。この項目はこれまでの指標ではあまり明確にされていなかったが、愛着と単なる「好き」という感情を峻別するためには必要であろう。
なるほどな~
その他,愛着のある地域が災害で壊滅→愛着対象の消滅,や,愛着研究の地域再生への貢献の可能性などなかなか面白い,と思いました。