感情心理学(朝倉心理学講座10)

感情心理学 (朝倉心理学講座)

感情心理学 (朝倉心理学講座)

「まえがき」(鈴木直人先生執筆)の、

感情はこのように再現性、公共性といった科学的手法に要求される条件を満たさないことがある。

という記述に、おおう、とのっけからノックアウトされました。
感情を表す言葉に文化差もあるし(感情のとらえ方の文化差?)、
感情→主観的、他の人がどう感じるかとは関係がない、
同じ刺激がつねに同じ感情を引き起こすわけではない、
また同一人物内でも同じ刺激なのに違う感情が感じられることも、
などの点で取り扱うのが難しく、「感情」というものは誰もが知っている(経験している)ものにもかかわらず、心理学であまり研究されてこなかった理由が示されていました。
しかし、心理学の研究アプローチも多彩巧みになってきたので、感情心理学は精神生理学的研究とか社会心理学からのアプローチとか、質問紙→構造方程式モデリングを使った分析とか、様々なプレイヤーが「感情」を対象にするようになってきたことが本書を読むと分かります。
個人的には、アレキシサイミアについて理解を深めることができたのがよかったです。
また、感情の機能的側面についても複数の章(執筆者)から理解を深めることができると思います。