完全改訂版 バイリンガル教育の方法 12歳までに親と教師ができること

完全改訂版 バイリンガル教育の方法 (アルク選書)

完全改訂版 バイリンガル教育の方法 (アルク選書)

ひょんなことから勧められてちょっと読んでみました。
バイリンガル教育の方法 <増補改訂版>』(2001年刊行)の改訂版だそうです。
フランス語と英語が公用語とされているカナダの「イマージョン教育」,大雑把に言えば学校教育の中でフランス語も英語も勉強をする言語として使う(やり方は様々なバージョンがあるので非常に乱暴な説明ですが・・・)教育を議論のたたき台にして,海外日本人子女の「バイリンガル教育」など,実例と先行研究をもとに広範かつ丁寧に述べている本でした。
バイリンガル教育」の本ですが,様々な読み方ができる本ではないかと感じました。
例えば,「2言語相互依存の原則」

p.39
「2言語相互依存の原則」と言うと難しく聞こえるが、言わんとすることはかなり常識的なことで、ある意味では自明の理である。例えば、ピアノがよく弾ける子がハープを習い始めたとすると、もちろんピアノとハープでは手の使い方も足の使い方も違うから、新しい楽器に慣れるまでは時間がかかる。しかし、ある程度慣れてしまうと、ピアノが弾ける子どもの方が初めて楽器というものをいじり始めた子どもよりは、伸びが早く、達成度も高くなる。スポーツでも同じである。スポーツのルールは確かにそれぞれ違うし、必要とされる技能も違うけれども、スポーツ選手になるためのトレーニングや、スポーツ精神では共通面が多い。従って、新しいスポーツを手がけるときにはそれまでのスポーツの経験が生きてくるはずである。
ことばも同じで、1つのことばで読めるようになるということは、そのことばについて学ぶと同時に、ことばそのものについても学ぶので、次のことばの読み書きを学ぶときには、その経験が役に立つ。抽象的な語彙の習得でも同じである。

大学で専攻する分野についても似たようなことがいえるかもしれません。
また,「バイリンガル教育」が主題ですが,本書では「母語」をしっかりと習得することの重要性(母語が充分でないと他の言語も熟達できない)が度々いわれているのが印象に残りました。
うん。自分も非常に納得しますね。
大昔,教育実習(高校)に行ったとき,国語以上に英語は伸びないと思う,と実習指導の先生に言ったら,そうだそうだ俺もそう思うと盛り上がったことを思い出しました。