NHKスペシャル 原爆死 ~ヒロシマ 72年目の真実~

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番組内容参考:

「原爆死ヒロシマ72年目の真実」〜核兵器がもたらす余りにも残虐な死の実態を改めて突き付けている/Nスペ 仁王像

8月6日に放送されたものを録画して視聴しました。以下1度通しで視聴しただけの印象で書いていますので,大雑把な記述になっています(悪しからず)。

”ビックデータ”と番宣では言っていましたが,原爆死者の検視記録等が広島市や広大関係(多分)の努力によりコツコツとデータベース化されたものを可視化したという感じで,何か高度な分析集計をしたという印象は受けませんでした。

しかし,いずれにしてもデータを可視化したおかげで,原爆死の実像を再確認していくつかの新たな知見(実証データ)を引き出すことことができたのは意義があったと思いました。

番組内容の要点は,上記リンク先にありますが,自分的に印象に残ったポイントなど:

-聞き慣れない死因ー圧焼死

要するに,倒壊建物の下敷きになって生きながら焼かれたということです。

事例として,広島女学院の講堂で崩れた建物の下敷きになったお友達を声がするのに瓦礫をどうすることもできず,火事が迫ってきてそのままになってしまった方が証言されていました*1

-原爆特有の熱傷

2年前の同じく8月6日のNHKスペシャル「きのこ雲の下で何が起きていたのか」

www6.nhk.or.jpで,2千度(?)の熱線で皮膚を焼かれるというよりも,表皮を一瞬にして”蒸発”されて剥がされたこと,そしてごっそりと皮膚を剥がされ組織が露呈すると耐えがたい激痛にみまわれること,などが明らかにされていましたが*2,今回のNスぺではさらに新しい知見が出されていて,衝撃でした。

熱線=強いエネルギーをもった光線を皮膚に当てると,皮下にある血管内の血液が一瞬にして”蒸発”し,血管が破裂,同時に皮膚組織も崩壊し脱落するという,通常の熱傷とは異なる機序があったのではないかという,熱傷の専門家の解説があったのです。

原爆による火傷は治りにくいということを聞いていましたが,ああなるほど,通常の熱傷とはかなり違い,(栄養を供給する)血管ごと根こそぎ組織を破壊する故にもっとひどいことになる(回復がより難しい)のだなと素人的にも分かりました。

皮膚は外界に対するバリアーの役割をもっていますが,その皮膚を原爆特有の根こそぎ組織なくなる破壊を受け,ノーガードになった結果,前述の通り激痛に加え,容易に全身的に感染症にかかり,臓器のあちこちがやられて徐々に死に至る,ということです。

まさに拷問です。

-内部被曝と「黒い雨」によるホットスポットの存在可能性

番組によると,爆心から2.5キロ以遠は放射能による直接的な健康被害ないと国はいっているようですが,2.5キロよりも遠い地点で被爆したにもかかわらず,その後原爆症で死亡したとみられるケースが多いことが指摘されていました。まあ要するに,原爆投下間もなく,爆心地に入って放射能を含む塵等を吸い込み,結果として内部被曝した人が結構いたのではないかという指摘です。

また,爆心地からまあまあ離れていて直接被害を受けなかったが,その後に降った所謂「黒い雨」による放射性物質の降下と蓄積により,「ホットスポット」化していたのではないか&「ホットスポット」による原爆症死?という,己斐町のケースが紹介されていました。

以上,以前から指摘されていたことも含まれるのですが,原爆死のマッピング(可視化)により,やっぱりそうだったんじゃないか,とちゃんと言えるようになることは非常に重要なことではないかと思いました。

*1:こんなこと,自分だったらとてもテレビの取材で話すことができない,と感じましたが,72年目になって,もう自分もじきに死んでしまうだろう,という頃になってはじめてお話しするお気持ちになったのかなと思いました。

*2:あまりにも凄惨な内容だったので,今でも怖くて録画を見直せません。