- 作者: 荻原博子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/12/20
- メディア: 単行本
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- マンションが大量に売り出された1999年
- 日本のマンションの3割は2000年から2007年までに建てられている
p.33
日本は,かつて円高不況を,平成バブルで凌ごうとした
そしてその平成バブルのつけを,マンションバブルを起こして凌ごうとしたとのことです。
加えて,1997年のアジア通貨危機も背景にあったとも。
p.26-27
(1)建築基準法を改正し,建築確認や検査を民間に開放し,住宅を大量に作れるようにした。
(2)住宅金融公庫の住宅ローンの金利を2%まで下げ,大型ローンを組みやすくした。
(3)マイホームを買った時に税金が戻る住宅ローン控除を,過去最大に大型化した。
ううむ。
- 10年後,築40年を超えるマンションが162万戸になる
「つまり,今あるマンションの約4分の1が築30年以上」(p.104)
モノである以上建った時そのままではなく,経年劣化し住むには支障が出てきて建替えが必要になってくるのですが,その頃には各戸のオーナーは高齢化して,修繕・建替えの負担に耐えられない,じゃあどうする?ということへの提案が本書では様々な事例を通じてなされています。
それらの事例は読めば感心するのですが,じゃあ自分が住んでいるマンションではそれができるのか(なお私は賃貸でマンションオーナーではありません)?
要するに,マンション管理組合がマンションを経営的視点(=資産価値を維持という保守的な姿勢にとどまらず,資産価値をアップするくらいの積極性が必要)で運営していくくらいの体制が必要である,ということだと,各事例を読んで思いました。
マンションは様々な思惑・事情をもつオーナーたちの共有物であるが,何をするにも合意形成が必要(でもそれはしばしば困難)であるというハードルをいかにクリアできるか,そのヒントは示されている点は評価できますが,実行が可能かというとなかなか困難でしょうね・・・