伝書鳩のように

 

宮本常一 伝書鳩のように (STANDARD BOOKS)

宮本常一 伝書鳩のように (STANDARD BOOKS)

 

 宮本常一の本は以前何冊か読んでいて,図書館の新着コーナーで見かけたので,久しぶりに読んでみました。

まだこの人の代表作『忘れられた日本人』は読んでないなあ。

今回の『伝書鳩のように』の巻末には,「もっと宮本常一を知りたい人のためのブックガイド」があり,その他にも『民俗学の旅』『宮本常一が撮った昭和の風景』『旅する巨人 宮本常一渋沢敬三』が紹介されています。読んでみるか・・・

ちなみに,本書タイトルの「伝書鳩」とは最後に収録されている小文タイトルからきていると気づきました。

p.214

いまこの文章をかいている間にも私の頭の中には無数の老人や先輩たちの顔がうかんでくるのです。それがみんな私の方を見ているのです。その人たちが私に仕事をさせました。しかも私はその人たちに対してほんとうにむくいてはいません。それが一ばんかなしいことです。

私の一生は伝書鳩のようなものであったのかもわかりません。しかし決していい伝書鳩ではなかった。先人の意志を何十分の一も伝えることができないからです。

日本各地を旅して昔の話を聞いたり,失われつつある日本の庶民の暮らし方を記録し後世に残そうとしてきた”伝書鳩”ということですか。