災害に出合うとき

新型コロナウイルス禍,患者数や死者の数はこの記事を書いている時点では”パンデミック”レベルとはいえないと思いますが,学校一斉休校やイベント等の自粛など,社会や人々の意識・生活に大きな影響を与えている現状は,まさに一種の”災害”といえる状況ではないでしょうか。 

 少し前に読んだこの本で,人々が避難しない,避難行動が遅れてしまう心理について広瀬弘忠先生へのインタビューや文献が引用されていたので,

lionus.hatenablog.jp

広瀬弘忠先生の本をまとめて借り出して読んでいます。

災害に出合うとき (朝日選書)
 

上は,1995年の阪神・淡路大震災後の1996年に出版された本です。

阪神・淡路大震災後に何度も現地に入り調査した経験が書かれているだけでなく,(社会心理学社会学ベースの)災害研究者として関わった過去の災害(1977年~1978年有珠山噴火や1982年の北海道・浦河沖地震,1991年の雲仙・普賢岳噴火災害など)の経験も豊富に書かれていて,非常に内容が濃いです。

避難行動のような心理学っぽい内容だけでなく,行政がどのように災害に対応するか,社会学的?政策学的?な側面について,特に災害発生時に被災地の自治体首長の対応についても具体的に書かれているのは興味深かったです。

ところで,本書のタイトルは,1995年当時被災者のメンタルヘルスについて書かれた本として話題になった(書店で平積み!)この本が念頭にあるのかなと思ってしまいました。