オンライン授業でパソコン使う時間が長くなったからタイピングが上達したのか?!

自分が非常勤で担当する科目について,ぼちぼち最終授業日を迎えつつあります。
先日実技試験代わりの最終課題の提出・締切が終わり,採点してみたところ,従来の受講生よりも,新型コロナの影響でオンライン授業(オンデマンド)になった今年2020年春学期の方が,タイピングテストのスコアが全体的に高いような印象を受けました。

自分が担当する授業の一部で,今学期のオンライン授業に関するレポートを課していて,ぼちぼち採点中なのですが,「今までスマホ利用でパソコンを使う機会がほとんどなかったが,オンライン授業でパソコンを使うことが増え,パソコンの使い方に慣れてきた・タイピングも速くなった」とかいう感じの感想が散見されることもあり,昨年2019年と2020年の比較をしてみました。

単一学部のみの受講生から構成され,年度が違っても等質性はかなりな程度あると思われるクラスで2019年春と2020年春の,タイピングテストスコアを比較してみました。

  • タイピングスコア測定:e-typingの「腕試しレベルチェック」
  • F検定により等分散性のチェックをおこなった上で,等分散を仮定する独立した2標本のt検定を利用

その結果,2019年春はスコア平均123.8,2020年春は173.7と,50近い差で2020年春の方が高く,t検定でも0.1%水準で有意な差がありました。
しかし,この結果からオンライン授業がタイピングスコア向上に影響した,つまり,先にあった学生感想のような「オンライン授業でパソコン使うことが増えたのでタイピングも上達した」,とは言い切れません。
といいますのも,

  • 2019年春は,パソコン教室端末で時間制限のある実技試験として,アセアセとなりながらやったスコア
  • 2020年春は,オンライン授業で現地実技試験ができないため,自宅で,1週間内という提出期限あるがどれだけ時間かけるかは各自に任された状況でのスコア

ということで,2020年春はともかく自分が納得できるだけやってみて,一番良かったスコアを提出してきている人が結構いるはずで,全然2019年春と違う条件なので,単純比較はできず,結局何ともいえないな~という感じです。

他方,今年のスコアを見て感じたことがもうひとつあります。
スコアの絶対的評価という面です。173.7というスコアが高いか,という点については,
e-typingのページを見ると,
「158~174」で「B-」,「個人的な用途でのパソコン利用には問題のないレベルです。正確さを意識して更にスコアアップを目指しましょう。」
だそうです。大学生ならこれで十分じゃない?と思われるかもしれませんが,学生さんの様子を(従来からリアル授業で)みてきた経験からすると,この程度(200未満?)だと,ホームポジションからほとんどキーボードを見ずにタッチタイプができる現状ではなく,ちらちらとキーボードを見ながら,一部の指だけを使ったなんちゃってタッチタイプ風という状態ではないかなと推測します。
ちらちらとキーボードを見ながらある程度の速度で打つ,という状態は,頻繁に視線(頭・首)の上下左右の動きが起こりますので,とても,とても疲れるはずです。
実は私も,中学校の頃からパソコンを使っていましたが,上記のような自己流”なんちゃってタッチタイプ風”で,確かに,ある程度の速さでは打てるが,1~2時間もワープロ作業をすると若いのに首肩ガチガチ,頭や目も痛い痛いとなっていました。好きで使っているのに,疲労が半端ない。
大学に入学して,TypeQuickというタイプ練習ソフトを見つけ,
www.datapacific.co.jp
大学の端末で暇にあかして練習したところ,ちゃんとしたタッチタイプができるようになり,パソコン文字打ちによる疲労苦痛が激減しました。
このような経験から想像するに,平均的な大学生だと,一日に4~5時間程度(90分授業×3コマだと4.5時間になる)オンライン授業の受講や,課題をやる程度でも,疲労感はものすごいはずです。過去の私のように必ずしも好きでやっているわけではない(”強制”されている?)ので,余計疲労感マシマシでしょう。
オンライン授業きついきついという大学生の声は巷にあふれていて,まあ急ごしらえの体制でやっているし,うまい具合な調整ができてないところも多々あるだろうからと思うのですが,一方で,こういうタイピングスキルの不足=パソコン利用基礎体力の不足?も背景にあるかもしれないなあと感じた次第です。