静かな時限爆弾 アスベスト災害

広瀬先生の本は見つけたらぼちぼち読んでいて,その一環で読みました。
アスベストじん肺訴訟」とか,ニュースで聞いてたな~と思いましたが,人類のアスベスト利用の歴史(石器時代にまでさかのぼるらしい;大量利用されるようになったのはこの百年あまりらしいが)や,アスベストとはどんな物質か,そして人体への恐るべき作用(害)まで,しっかり書き起こしてあり,無知って恐いなと思いました。

でも一番ぞっとしたのは,「あとがき」の記述でした。
「私事にわたるのをお許し願いたい。著者の住むアパートでの話である」からはじまるエピソード。
そのアパート,建設後10年以上経ったということで,「建物の健康診断を依頼した」ところ,設備のあちこちにアスベストが使用されていて,しかもそれがボロボロで飛散するにまかせている状態だとわかったそうです。

pp.189-190
しかし,一番驚いたのは,クーリング・タワーであった。クーリング・タワーの先端には,消音のためと高熱に堪えるため,アスベストが大量に使われていた。ところが,写真に見る,わがクーリング・タワーには,アスベストがほとんど残っていないのだ。そこで,その理由を問い質してみた。
「カラスがつついてもっていってしまうのです」というのが答えであった。アスベストを貼り付けた,皿のような形の先端部分は,直接外界に接している。カラスがその気になれば,ちょっと変わったおみやげとして,持ち帰ることもできなくはない。巣作りにでも使ったのかもしれない。
(中略)
それにしても,そのカラスはどうなったであろうか。

うへぇ~現代の怪談?