スケープゴーティング -- 誰が,なぜ「やり玉」に挙げられるのか

スケープゴーティング--誰が,なぜ「やり玉」に挙げられるのか

スケープゴーティング--誰が,なぜ「やり玉」に挙げられるのか

  • 発売日: 2014/12/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
スケーブゴーティングとは,事件や事故,災害に関連して発生するもので,

(はじめに より)
責任主体が不明確な場合でも特定の人や集団がターゲットとして選び出されて非難されることもしばしばである。これは,人が曖昧な状況やフラストレーションに長時間は堪えきれず,早急に責任者を選び罰することによって心の安寧を回復しようとするためであると考えられる。このような現象がスケープゴーティングであり,その対象となったものがスケープゴートと呼ばれる。

上記のような定義を,先行研究をひきながら心理学的に詰めた上で,

pp.4-5
 以上の内容を考慮して,ここでは何らかのネガティブな事象が発生,あるいは発生が予見されている際に下記の現象が生起する場合,これをスケープゴーティングと定義することにする。
①事態発生や拡大・悪化に関する因果関係・責任主体が不明確な段階で,それをある対象(場合によっては因果関係の枠外にある対象)に帰属したり,その対象を非難したりする。
②責任帰属や非難が一定の集合的広がりをもって行われ,そのような認知や行為が共有化されるプロセスがある。

前半は理論的な検討が濃くなされていて,後半は新聞記事分析データをメインとした研究のお話でした。
新型インフルエンザで感染者を責めたり,あらぬ方向に非難の矛先が向きがちな昨今,参考になる本だと思います。