もしも刑務所に入ったら - 「日本一刑務所に入った男」による禁断解説

サブタイトルに「日本一刑務所に入った男」による禁断解説、とありますが、これは少々煽り気味で、刑務所に視察に(恐らく)日本一入っている大学の先生が書かれた本です。
けれども、刑務所ってどんなところ?入ったらどんな生活?など、総合的に垣間見られて面白かったです。
実のところ、本書を書かれた裏目的には、刑務所をめぐる制度や政策についてもっと一般の人も知ってもらいたい・考えてもらいたいというところがあるように思いました。
「第5章 刑務所が抱えている問題」には、刑務所に何度も出たり入ったりする累犯者の存在と、さらには累犯者の高齢化問題、無期刑囚はすべからく死ぬまで刑務所に入れておくべきなのかといった問題提起がなされています。
「最終章 出所後の生活」では、第5章でも述べた受刑者の高齢化問題とともに、

p.197
 罪を犯して出所しても、その犯罪者が若くて健康で体力があれば就職口がある。しかし、高齢者や障害者の受刑者は就職口がなかなか見つからないということが、犯罪を重ねることにつながっている。
 彼らは刑事政策と地域社会の狭間の問題に陥っていると言える。民間企業の受け入れが絶望的な老人受刑者は、もはや面倒を見る場所が刑務所しかないのである。

薬物によって刑務所に入った人をどうするか問題も書かれています。

p.198
 老人や障害を持つ受刑者の更生と並んで困難を極めているのが、薬物で刑務所に入った人たちである。

p.198
高齢受刑者が就職するのは難しいが、薬物依存症者においては年齢が若い人が多く、薬物を断ち切ることができれば、就職口も見つかり、再起できる可能性は高いと言える。

p.199
 刑務所の役割は、あくまで罪を償う場所であって、犯罪者の復帰支援のために存在しているわけではない。再犯防止の命題は、むしろ受刑者たちを受け入れる地域社会に委ねられている。