日本企業の復活力―コロナショックを超えて

 

今回のコロナショックを奇貨として、日本企業は待ったなしの改革で再び立ち上がれという激励の本です。

激励、といっても、著者先生は高名なベテラン経営学者ですから、それなりのデータと従来からの持論をもとに、それなりの説得力をもったお話を展開されているように読みました。

ちょっと日本買いかぶり気味じゃない?と思う面もありましたが、

pp.241-242

 私はポストコロナの時代に向けて日本企業に要請される様々な改革の動きの中で、雇用・人事の改革は本丸だと思っている。その理由は二つある。一つは、すべての改革にはそれを推進する人材が必要で、その供給をきちんと担保するためには人事部の大きな役割が不可欠だからだ。もう一つの理由は、日本企業が人的ネットワークの安定を重んじてきたために「安定が安住にすりかわる危険」があり、その状況の中で安住の罠に陥らないためには、雇用と人事の慣行を大きく変えることが必須だと思うからである。そのカギを握るのが人事部である。

非常に同意します。

正社員(メンバーシップ型雇用)を守るために、派遣や非正規を調整弁に使い、さらには正社員の給与も抑制して”カイシャ”を守ってきたのでしょうが、もうもたないでしょう。

コロナだからしょうがないという、改革が進みやすいきっかけを、人件費削減、コストカットカットでまた乗り切ろうとするのはもう無理でしょう。カイシャではなく社会が壊れます。