なぜ起こる鉄道事故

なぜ起こる鉄道事故 (朝日文庫)

なぜ起こる鉄道事故 (朝日文庫)

Twitterか何かで本書について言及している記事を見て、単行本を借り出して読みました。
以前のはてなダイアリーを見ると、既読だったようです。
lionus-old.hatenablog.jp
以前の日記では、鉄道はまず停まることが安全の基本というところに反応していたようですが、
今回はATS(自動列車停止装置)の至らない点、具体的には、国鉄(当時)には色々な車両が走っているので、危険だからここで車両を自動的に停めてしまうと一律に決めることができない、したがって停止せよ警報を出すだけで、しかもその警報は運転士が確認ボタンを押すと鳴り止む仕組みのため、警報が出た後、運転士がうっかり停まるべき所で停まらなかったらアカンことになるというところに非常にぞーっとしました。
そのようなATSの欠点をなくした進化版のATCが新幹線に採用されている、という(著者の)記述も読むと、なるほどと思います。
その他には、業務上のルールと現場の実情が違う場合をどう考えるべきか、具体的なエピソードを通じて書かれているところや、現場の一種の”人情”から事故隠し(かばいあい)が起こっていた旧国鉄の状況とか、旧国鉄労働組合問題と絡めて書かれているところは何とも言えない気持ちになります(著者は当時労働組合と対決する立場にあり、最後はJR東日本会長になられた方)。