イヌは愛である―「最良の友」の科学

著者先生は行動主義心理学にベースをおく動物心理学者です。
したがって、タイトルで「愛」とか言いながら、あくまで”禁欲的”に実験アプローチでイヌの行動を通じて、そしてときには遺伝学者との共同研究もおこない、心理学の中でのひとつの大きな論争テーマ、「遺伝」(系統発生)か「環境(経験)」(個体発生)かについての考察も加えながら、イヌと人間の関係について追求しています。
内容は、イヌがいかに人間のよき友であるか、著者先生の体験を交えながら表情豊かに書かれていますが、それと並行して自らおこなった実験や、関連する先行研究などもご本人の研究試行錯誤とあわせてがっつり書いてあるので、心理学研究のひとつのケース(流れ)としても読める、非常に面白い本でした。
本書では、「ウイリアムズ症候群」という疾病について著者先生が知ったことを機に、大きな転換をみせます。詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、ウイリアムズ症候群の患者さんがもつ遺伝的特徴の発見をキーに、

p.202
同じ遺伝的特徴を共有するイヌと人間の類似性をたしかめたいまとなっては、ありのままの事実を口にすることになんの不安もない。イヌは人間を愛している。

という結論に達したということです。
さらにそこから、「第7章 イヌをもっと幸せに」では、イヌと人間はどうしたらお互いに幸せに暮らせるか、ご自身のお考えを展開されています。