航空安全とパイロットの危機管理(改訂増補版)

入社以来42年間、一度も病欠などでスケジュールの変更なく飛び続け、”グレートキャプテン”と呼ばれたベテラン機長による本です。
著者のサイト:
kobayashihiroyuki.com

ヒューマンファクターの視点からの事故防止対策として、CRM(Crew Resource Management)というものが航空分野ではあること、その他長年の機長による経験からの、事故を起こさず安全に飛び続けるための心掛け・考えを色々読めてよかったです。

長年の経験からの心掛け・考えに関わるキーワード:

  • 謙虚と自律の文化 「謙虚」は字句通りとして、「自律」とは?

p.40
 自律とは、言葉を換えれば自助努力・自己責任である。人は、うまくいかないと、他人のせい、会社のせい、制度のせい、機材やコンピューターのせい、天候のせいなどと、その原因を他や外に求めてしまいがちである。

p.41
自分、自社以外の要因は原因ではなく、条件だという意識が必要ではないかと思う。これは究極の自律心でもある。

  • 危機管理は重要度の選定が大切

p.122
 「この業務では何が大切か」、「今、何が一番大切か」という重要度の選択は、日々の仕事でも危機に陥らないためにもとても重要なことである。

p.122
 後年、自分が機長昇格の訓練教官になったときには、重要度の選択が出来ていないパイロットは、進歩も遅く苦労をしていた。どんなことがあっても安全を確保するという危機管理が最重要課題である機長業務には、その時々、その場その場の状況に応じて重要度の選定能力は絶対に必要条件である。

  • 「意思決定」「意志決定」の違い

p.129
 一般に個人の意向を決める用語には意思決定と意志決定の二つがある。意思決定は「そうしたい強い思い」でことにあたるという意味を含んでいる。意志決定は明確な意向をもって行動を決めるときに使用する。従って、危機管理では意志決定という言葉が適切である。

  • 意志決定には判断と決断とがある

p.129
実は判断と決断には違いがある。

p.130
判断には一般に基準、正誤があり、決断には覚悟が要る。

p.130
「判断は頭」で「決断は肚」で、というアドバイスしている。

  • p.220「お互いに信頼しても信用するな」 →よく聞くけれど「信用するな」に違和感が・・・

p.220
だが「信用するな」という言葉には少し、スッキリしない気持ちが残っていた。

p.220
 "Trust but Verify"(信頼する、しかし確認する)という言葉

→なるほど。信頼するけど、確認のために・・・という感じか。