光目覚ましを使い始めた。

2022年4月より新しい勤務先に通うようになり、張り切って早起きするぞ!と、春~秋頃までは、夜更かし寝ぼすけな割には、なんとか世間並の起床時間を維持できていたのですが、冬に入り日の出時間が遅くなってくると、とたんに朝なかなか起きられなくなってきました。
なるべき早起きして、午前からしゃきしゃきタスクを片付けていった方が、早く帰れるし色々と気持ちがいいので、何とか朝すっきり起きられる方法はないか・・・朝なかなか起きられなくなったのは、起きたい時間が日の出前でまだ暗いからじゃないか・・・そうだ!光目覚ましだ!と思い、
比較ページ とか見て、色々考えましたが、
比較的安価で、縦型で枕と壁際に挟まれても光が埋もれなさそうな

を買ってみました。
使い始めて1週間程度ですが、自分としてはいい感じです。
本当に、本当にだるい起きたくないもうちょっと寝かせて・・・(そして二度寝)というときもあるのですが(これは自分が悪いのであり光目覚ましのせいではない)、平日にちゃんと起きたいときには、この光目覚ましのおかげで比較的気持ちよく起きられるようになりました。
今までは携帯のアラームを使っていたのですが、びっくりして起き上がる、叩き起こされるという感じで、まあでも目覚ましで起きるというのはこういうものかと思っていたのですが、光目覚ましを使い始めてみて、その感覚がひっくり返りました。
この光目覚ましは、セットした時間より30分前から少しずつ明るくなっていくそうで、その徐々に明るくなっていく途中で、なんとなーく自然に目覚めるような感じです。セット時間にアラームを鳴らすようにも設定できるのですが、その音も鳥の声とかいくつか自然な感じのものから選べます。自分は鳥の声を選んでいますが、朝からさわやかに落ち着いた気分で起き上がることができています。
これでまあまあ早起き生活が続けられればいいなあ・・・いや続けるぞ!

IT全史―情報技術の250年を読む

「情報技術の250年を読む」とありますが、本書は産業革命のあとにフランスで誕生した腕木通信の時代=1794年を始点に、250年間(2044年まで*1)の範囲を扱っています。
腕木通信ja.wikipedia.org
情報技術、というと電信とかコンピュータとかインターネットとかをまず思い浮かべそうですが、腕木通信って電気とか使わないよね?これが情報技術の250年の始点?と思われるかもしれません。
そう、この著者はかなり独特な視点から「情報技術の250年」についてくわしく詳しく記述しているのがすごかったです。
最近の人工知能(AI)のちょっとその先などにも言及していて、そこでもまた独特な視点で展開されていて、何度も読み返すべき本だと感じました。

*1:カーツワイルが『ポスト・ヒューマン誕生』でシンギュラリティ・技術的特異点が到来するとした年

はじめてのメディア研究〔第2版〕―「基礎知識」から「テーマの見つけ方」まで―

「メディア学」とか「メディア研究」とは何なのか全然わからんので、読んでみました。
本の前半は基礎知識を広く浅く、後半は「メディア学」「メディア研究」の具体例を示すような短い論文集になっているように拝見しました。
前半の基礎知識は、まったくの初心者にはとても有用に思いました。特にラジオやテレビ、映画や雑誌等のメディアの歴史についてコンパクトに読めたのが参考になりました。
後半の論文集については、例えば「メディア学」分野を学ぶ学生が卒論のテーマを見つける参考になれば、と置かれているものかなと思いながら目を通したのですが、一見するといろいろバラバラで、逆に(何でもありなので)何したらいいの?!と混乱しそうな気もしなくはないな、と感じました。

ベリングキャット─デジタルハンター、国家の嘘を暴く

「べリングキャット」とカタカナで書かれていると分からなかったのですが、「bellingcat」つまり猫に鈴をつけるという意味からきているのですね。
ja.wikipedia.org
SNSなどオンラインでオープンになっている情報源をもとに、様々な情報の分析と検討をおこなっている、当初はインターネットで手弁当で集まりはじまった組織です(オープン・ソース・インテリジェンス)。
現在のロシアによるウクライナ侵攻についても、ロシア側の”情報操作”の嘘と欺瞞を暴く活動を活発におこなっているそうです。
その、「べリングキャット」の中心人物が、はじめは興味本心からオープンソースの情報を収集・分析し、その分析した結果をブログ等で発表したことをきっかけに、どんどん専門家し、ついには”インターネット探偵”や”市民ジャーナリスト”の集団が出来あがり、既存のマスメディアや公的組織に協力するようになる過程を書いている本です。

日本のインターネットでも、何かけしからんことをしている個人がSNS上で見つかると、”特定班”があらわれ、個人情報を洗い出し晒し上げることがありますが、この「べリングキャット」たちは、このような”特定班”の使うスキルをポジティブな方向に使っている人たちなんだな、と個人的な感想をもちました。

ただ、既存のマスコミは職業的にやっているから持続性があるのであって、「べリングキャット」はいまや組織化され専従のサポートスタッフがいたりするとはいえ、かえって組織化されてしまうと、もともとの本質ともいえる”市民性≒素人性”のよさをどこまで維持できるのだろうか?とは思いました。
まあそんなことはともかく、とてもインターネットらしい、かっこいい集団だねえ。

ルポ 特殊詐欺

いわゆる「オレオレ詐欺」に代表される特殊詐欺について、犯人側の視点から実際の犯行のあれこれについて書かれた本です。
特殊詐欺については、高齢者を対象にした啓発活動が続けられていますが、本書ではSNS等で気軽にリクルートされ、犯罪の末端で”使い捨て”られる若者への啓発こそ必要であると強く主張しているのが非常に印象に残りました。
手っ取り早く稼げる”グレーバイト”=現金の受け取り役(受け子)やATMからの引き出し訳(出し子)等を入り口に、捕まったら実刑を食らうどころではなく強盗致傷という凶悪犯罪に手を染めてしまうケースがあることを知りました。
今まで、多額の現金をだまし取られる高齢者にもっぱら目がいっていて、犯人側のこと(犯罪の末端の末路)まで意識していませんでした。

p.224
 本書でも詳細に描いたところだが、「詐欺」とはいえ、その中には、やがて強盗を指示されて住宅に押し入り、家人にけがを負わせたり、追い詰められて殺人未遂事件を起こしたりするケースさえある。第三章では、被害金を持ち逃げして、追い詰められ強盗致傷事件へと発展したケースを紹介した。取材するほどに感じるのは、その悪質さと、果てしない害悪の拡散に特殊詐欺の本質があるという点だ。
 加害者として関与するその多くは10代~20代。安直にツイッターで「闇バイト」「高収入」などと検索して犯罪者側に引き込まれるのが大半で、その入り口でさえ騙し文句で塗りこめられている。「簡単にすぐ現金が手に入ります」「1日3万円保証。10万円も可能」といった具合だ。現金欲しさの誘惑に駆られてダイレクトメッセージを送ってみると……。この先は本書で繰り返し書いてきた。

p.225
 その意味で、高齢者へ「だまされないで」と啓発するのと同じように、むしろそれ以上に若年層への啓発が欠かせない。捜査関係者は「徹底的に末端を摘発する」と憤怒を込めて言う。逮捕されるのはいつも末端の若者たちだ。初犯でも悪質な場合は実刑判決を受ける。安易な気持ちで関与することの危険性を若者たちに伝える取り組みが強く求められる。「薬物に手を出すな!」と同様に、その危険性を教える必要がある。
 スマホを手にし始める中高生は、特殊詐欺で末端のリクルートに利用されているツイッターへも容易にアクセスできる年齢となる。SNSの適正な使い方とともに、特殊詐欺の入り口の気軽さと恐ろしさを啓発してしかるべきである。特殊詐欺の恐ろしさをひたすらしつこく書いた本書が、多くの中高生に読まれることを願ってやまない。

宝塚という装置

宝塚歌劇について、複数の筆者が論ずるという論文集です。
普段あまり読まない、文学部チック、社会学部チックな内容でしたが、なかなか面白いものがありました。
最もほうほう!と思ったのは、「タカラジェンヌの四層構造」です。
タカラジェンヌは「役名の存在/芸名の存在/愛称の存在/本名の存在」の四層構造になっている、という指摘で、
まず「役名の存在」と「芸名の存在」が「舞台上の存在の二重性」だといいます。

p.18
宝塚歌劇団の演出家である小池修一郎は、「宝塚」の男役たちは芝居で男性の役を演じる際、その役柄の行動様式を使って、「生身の人間でなくて、カッコイイ、架空であり、かつ自分が芸名で名乗っている何とかという男役を演じたい」のであり、「これは一般の俳優が役を演じるっていうこととは実は一八〇度違うことだと思います」と述べている。
p.18
「宝塚」では物語の登場人物を演じることを通して、自分の芸名と結びついた男役/娘役像を作り上げることが重視されている。
p.21 このように「宝塚」の舞台上のタカラジェンヌは、上演される作品の登場人物と、作品から自律して作品を横断する、芸名で名乗る男役/娘役の二重性をもっていることになる。そこで、以下では前者を「役名の存在」、後者を「芸名の存在」と呼びたい。

さらに「愛称の存在」と「本名の存在」は「舞台裏の存在の二重性」であり、このあたりが”宝塚”にあまり知識のない人間には見えない構造だったな~と思いました。

p.22
宝塚歌劇団では、「清く正しく美しく」「夢を売るファミリー」といったイメージを守る形で、役者の情報や言動が「すみれコード」と呼ばれる暗黙のルールに規制されている。宝塚歌劇団は役者が仲間内で呼ばれている愛称を公表する一方で、役者の本名は講評しないことに象徴されるように、舞台裏のタカラジェンヌには、ファンに公開されている素顔と、ファンに非公開の素顔があるのである。
p.23
「宝塚」の特徴は、タカラジェンヌの素顔には隠された部分があることが、ファンに対して隠されていないことにある。
p.23
ファンに公開されたタカラジェンヌのオフの姿は、彼女の「現実生活の一市民」としての側面を抑えて作り出された「タカラジェンヌとしての<私>」なのであり、そのことはファンも了解している。以下では、このファンに見せているタカラジェンヌのオフの姿を「愛称の存在」、ファンに対して公開していないオフの姿を「本名の存在」と呼びたい。

四層構造があって、最もベースとなる「本名の存在」は隠されている、見せない、見ない、というルールの存在が、宝塚歌劇団を特異的な存在にしているポイントのひとつであると気づくことができ、この四層構造をフィルターにすると、色々見えてくることがあるのではないのかな、と感じました。

絵でわかるサイバーセキュリティ

(はじめに より)

 この本では、「せっかく得た知識も、どうも賞味期限が短そうだ」といった恐れに直面しなくてすむように、セキュリティの根っこの考え方を中心にお話を組んでいます。

かわいいペンギンのキャラクター絵でわかりやすく説明してくれているのですが、まさに、上記のように知識をポンと提示するのではなく、なんでそうなのかというところまで少し突っ込んで説明してくれているのがいいなあと思いました。

この著者先生は、以前情報セキュリティマネジメント受験のときに使った参考書の著者でもあったことに、最近気がつきました。
lionus.hatenablog.jp

著者先生のお名前でぐぐってみると、他にも沢山本を書かれているようですね。すごいです。
自分とは相性がいいように感じたので、他の本も読んでみようかな。