JavaScript初心者勉強。

プログラミング(教育)が小学校の授業に導入されるということですが,自分の大学授業仕事にもプログラミング(教育)の波がやってきました。
今までHTML+CSSの授業(最終成果物として学生個々の”オリジナルホームページ”を作ってもらう)や,リテラシー科目の中でExcelマクロをちょこっとふれるようなことはしてきましたが,プログラミングの授業は初めてです。
自分にはJavaScriptによるプログラミング基礎みたいな内容を依頼されているので,このお正月休みにJavaScriptの授業ネタ本勉強をしました。
この2冊です。

入門者のJavaScript (ブルーバックス)

入門者のJavaScript (ブルーバックス)

画像ビューアの外形をHTML+CSSで作り,ボタンクリックで画像を行ったり来たりできるようにJavaScriptを書いていき,完成させるという本です。
Amazonのレビューを見ると,扱っている内容が少ないとかいう感想も見えますが,このプログラムはどうしてこうするのかという理由や考え方をきっちり書いておられるのが好感がもてますし,この本の意義あるところだと思います。
ただJavaScriptの書式をあれこれ列挙する本ではないということです。本書をとっかかりにして,他の色々あれこれ載っている本にとりかかったらいいんじゃないでしょうか。
(新)JavaScriptワークブック―ステップ30 (情報演習 13)

(新)JavaScriptワークブック―ステップ30 (情報演習 13)

  • 作者:相澤 裕介
  • 出版社/メーカー: カットシステム
  • 発売日: 2011/12/01
  • メディア: 単行本
実教出版の30時間・60時間シリーズに似たような感じです。
こんなやつ↓
30時間でアカデミック Office2019

30時間でアカデミック Office2019

大学とか専門学校,高校の授業テキストとして書かれている印象。
Step30ということで,15回半期,30回通年どちらでもいけるようなきりのいい章分けをしてあります。
昔からC言語とかで行われているような,条件分岐,繰り返し処理,配列などの古典的内容をJavaScript用の授業にしたらこうなります,という風で,授業には使いやすそうです。
ただ,HTML&CSSの心得がないと,ちょっとつらいでしょうか。結構HTMLやCSSをちまちま書かないといけない箇所もあるので。
しかし,ソースに使われているHTMLとCSS自体は解説されているし,JavaScriptソースコードも何をしているのか,どうしてこう書いているのかという解説がきちんと書かれているので,ぱっと見,地味ですが自学自習にもぴったりだと思います。

とりあえず,参考にできるネタ本を見つけてある程度勉強ができ見通しがつきました。次は教材作りとまだまだ先は長いけど少しほっとしています。

「心理学研究法」のために勉強&参考にした本たち。

某大学の「心理学研究法」という授業で使う授業コンテンツ(主にPowerPointスライド)を2019年の4月から作成しています。先月末(2019年12月末)で全15回のうち14回まで作成完了して,あとはこの2020年1月に最後の1回分を作り,一旦コンテンツ自体の制作は終了*1ということで,かなりほっとしています。
以前は,特定の教科書を使用することを前提としたコンテンツを作成するという方針でしたが,今回は特定の教科書によらない内容にしてほしいということで,特定の教科書をベースとできないので,その点大変でした。
ということで,全15回の授業内容を設計&各回の内容を教材に落とし込むために,色々な本を勉強させていただきました。
備忘録も兼ねて以下すこしコメントつけつつ列挙していきます。

放送大学の授業内容は正統派な印象がありますが,ここ10年~20年で何度かリニューアル(担当者変更)されており,その度に少しずつ切り口が違ってくるのがまた興味深いです。

心理学研究法 (放送大学教材)

心理学研究法 (放送大学教材)

研究で得られるデータが質的か量的かという切り口と,実験,そして実践研究という切り口は独特だと思います。
執筆者がほぼかぶっているこの本のクローンかもしれません。
心理学研究法入門―調査・実験から実践まで

心理学研究法入門―調査・実験から実践まで

この『心理学研究法入門』は名著だと思います。実験デザインについて「準実験と単一事例実験」まで含めきっちりと記述した上に,教育・発達や臨床における実践研究についてもきっちり書かれています。
名著だとは思いますが,物言いが難しくてとっつきにくいかも。そのとっつきにくさは,上記放送大学テキストにもある程度感じられます。
あっ,話がそれてしまいました。放送大学テキストについて続けます。
心理学研究法 (放送大学教材)

心理学研究法 (放送大学教材)

「行動から心を探る―観察法」など,日常用語なフレーズで典型的な心理学研究法のそれぞれについて説明されています。
典型的な方法だけでなく「心を説明するモデルを探る―モデル論的アプローチ」とか「動物から人の心を探る―比較心理学的方法」など,執筆陣の個性が結構出ているなという気もします。
心理学研究法 (放送大学教材)

心理学研究法 (放送大学教材)

先の2008年バージョンと執筆者は同系統のようにみえますので,この2014年バージョンは2008年の延長線上にある気がします。「『きく』ことによって態度や意見を探る―面接法―」など,日常用語なフレーズが使われているのは私は好きですね。

  • 「本書には,過激な発言が多く見られます」と著者自ら冒頭で述べている本

心理学の研究法―実験法・測定法・統計法

心理学の研究法―実験法・測定法・統計法

実験系出身の人が,質問紙調査で卒論を書くゼミ生をもつようになったため,自分と自分の学生のために執筆したらこういう内容になるのかしらと思う本です。実験計画について簡潔で当を得た記述がされていて,質問紙調査では信頼性と妥当性についてきっちり言及した上に,質問紙を作る際の細々とした留意点を説明してさらに調査実施後の調査票の取扱いとデータ入力まで経験した人でないと書けない気をつけろよポイントが押さえられているのは頭が下がります。
このように,非常に堅実で実践的な内容なのですが,ときどき上記見出しのように”過激な発言”があるのがまたご愛敬で。

事例研究と称して,心理臨床の事例を報告しているものがある。そこには,クライエントとセラピストのやり取りが,日記や作文のように記述されているものもある。そして,クライエントの反応やカウンセリングの効果は,セラピストの主観によって,言葉で記述されている。このような事例報告は科学的心理学ではない。(中略)心理学あるいは臨床心理学などと称して,このような事例研究を教えている大学の講師もいるが,残念ながら,その講師からは科学的心理学を学ぶことはできない。

おおぅ。

  • なるほど!シリーズ

なるほど! 心理学研究法 (心理学ベーシック 第 1巻)

なるほど! 心理学研究法 (心理学ベーシック 第 1巻)

心理学を研究すること,といった総論的なことと,統計処理の初歩,研究倫理,研究成果の公表(心理学論文の書き方)など,雑多な内容が同居している一冊です。この本一冊で「心理学研究法」について述べるというのではない,という作りのようです。
研究倫理については,研究不正について結構傾斜して書かれているような印象を受けました。
なるほど!  心理学実験法 (心理学ベーシック)

なるほど! 心理学実験法 (心理学ベーシック)

ちゃんとした心理学系学科・学部ならやるよね的基礎実験のマニュアルぽいですね。
大昔ならこれ系の本なら,ミュラー・リヤー錯視とか鏡映描写とかいかにもな実験のみについて扱っていたのが,「パーソナル・スペース」なども扱っているのは時代の変化を感じますね。
なるほど! 心理学調査法 (心理学ベーシック 第 3巻)

なるほど! 心理学調査法 (心理学ベーシック 第 3巻)

「調査法」だけで1冊独立しているだけあって,基本的な事柄だけでなく派生的(応用的)なことまで記述されているのは面白いですね。例えば,「オンライン調査」(これは著者先生の特色もあるでしょうが),海外産の心理尺度を使う際に避けられない「翻訳」の話とか。
なるほど! 心理学観察法 (心理学ベーシック 第 4巻)

なるほど! 心理学観察法 (心理学ベーシック 第 4巻)

観察法っていうと,私なんかはすぐ子ども=発達研究を想起してしまうのですが,行動分析系の観察研究が結構例示されているのでなかなか独自性があると思います。構造化・半構造化・非構造化とかいった面接法の基本的な話を押さえた上で,後半本書の半分は臨床面接法(臨床評価)に紙幅がさかれているのはなかなか強い感じです。

  • 薄いけどまとまっている

Progress & Application心理学研究法

Progress & Application心理学研究法

村井純一郎先生って,遠見書房公認心理師テキストシリーズの「心理学研究法」の執筆されているんですよね。
ページ数はそんなに多くないのに基礎系・応用系どちらにも目配りしてしかも的を得た(私の思う限りでは)内容であることに驚愕します。
これも名著だと思いますです。
これを目にして,自分にはあまり縁のない生理心理学的測定法を授業内容に入れてみたいなと思ったりしたし。

  • 事例研究法関係

なにかとdisられる?ことの多い事例研究について,今回扱ってみました。
事例研究について述べる場合,まずほとんど引用されている河合隼雄先生の論文が収録されている本。

新版 心理療法論考

新版 心理療法論考

あんまり河合先生の御本は読んだことないのですが,本書に収録されている内容は,当初目的であった事例研究関連以外も,すごいアグレッシブでいい感じですね。
心理臨床家のための「事例研究」の進め方

心理臨床家のための「事例研究」の進め方

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2001/09/01
  • メディア: 単行本
「事例研究」ってともすると,単に日記とか感想文にしかならないんじゃないの?と思いますが(←偏見),こういう本を真面目に読んで実践するといいんじゃないでしょうか。
事例研究の考え方と戦略: 心理臨床実践の省察的アプローチ

事例研究の考え方と戦略: 心理臨床実践の省察的アプローチ

ひとつ前の本の共著者の先生が単独で書かれている本です。これは面白かった。日本の心理臨床で事例研究が盛んになった経緯とか,リアルタイムで経験してきた人じゃないと書けない,しかもご本人は第一線から隠居しているから書ける的な感じで個人的には面白く拝読。

  • 発達研究法関係

以前は,発達研究法って,横断法と縦断法じゃないのって思ってましたが,ふとしたときに放送大学「乳幼児心理学」の授業を何度か視聴して,言葉が通じない乳幼児に特化した研究法があるということを知って,横断法と縦断法に加えてそういった方法を提示しないといけないよなと思うようになりました。
そのきっかけとなった放送大学テキスト

乳幼児心理学 (放送大学教材)

乳幼児心理学 (放送大学教材)

これに関連して,アモーダル知覚って何だ?と疑問に思ったので,同じ著者先生の本も参照しました。
知覚・認知の発達心理学入門―実験で探る乳児の認識世界

知覚・認知の発達心理学入門―実験で探る乳児の認識世界

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2008/03/01
  • メディア: 単行本
こちらについては,脳波等の非侵襲的な検査(調査)法も大変参考になりました。
発達研究,特に縦断法については,次の本のカンガループロジェクトも参考になりました。
親と子の発達心理学―縦断研究法のエッセンス

親と子の発達心理学―縦断研究法のエッセンス

発達=子ども研究という点で,観察法研究の例としては,こちらの本の内容も参考になりました。
すごくいい本です。個人的には大好きな本です。この本に書かれているようにヒトがそのまま成長したら,世の中は決して悪くならないだろうにとか思ってしまいます。乳幼児に関わる人にはぜひ読んでいただきたい本です。
子どもたちは人が好き: 幼児期の対人行動

子どもたちは人が好き: 幼児期の対人行動

他には,
研究法と尺度 (発達科学ハンドブック 第2巻)

研究法と尺度 (発達科学ハンドブック 第2巻)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新曜社
  • 発売日: 2011/11/18
  • メディア: 単行本
とかも参照しました。

  • その他

前バージョンの心理学研究法で教科書にしていた本。

前バージョン&今回の教材作成でも参考にしていた本。
心理学研究法 補訂版 (有斐閣アルマ)

心理学研究法 補訂版 (有斐閣アルマ)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 有斐閣
  • 発売日: 2017/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
心理検査をツールに使うという文脈で参考になった本。
心理アセスメント: 心理検査のミニマム・エッセンス (心の専門家養成講座 3)

心理アセスメント: 心理検査のミニマム・エッセンス (心の専門家養成講座 3)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー:カニシヤ出版
  • 発売日: 2018/04/20
  • メディア: 単行本

*1:その後これらのスライドを使った授業収録があるのですが。

データ分析:「分けて比べる」と「複数の要素を一緒に並べる」。

昨日書いた記事の続きです。
lionus.hatenablog.jp

その,2つ(以上)の変数の関係性を調べることがデータ分析としてここからの話をすすめるよ!として,クロス集計と平均値の比較に進む作りにしてみました。

https://lionus.hatenablog.jp/entry/2019/12/29/175817

受講生は必ずしも統計学の基礎知識を持っているとは限らない(「心理学研究法」履修の前提条件ではない)ため,いきなり「クロス集計と平均値の比較」は苦しいかと思い,その前にグラフを使ったデータ分析初歩みたいな内容をワンクッション置くことにしました。
データからExcelでグラフを作成して読み取りと考察をするというのは,(情報)リテラシー系の授業の持ちネタとしてずっとやってきているのですが,今回データ分析について検索して出会ったページを見て,
www.dsk-cloud.com

「分けて比べる」と「複数の要素を一緒に並べる」というフレーズを思いつきました。
以前から「分けて比べる」はデータ分析について授業する際にずっと言ってきていたのですが,今回初めて「複数の要素を一緒に並べる」というのを思いつき使ってみることにしました。

まず,「分けて比べる」データ分析とは,1つのデータを,例えば男女など分けて比べて何らかの知見を引き出すものです。
もうひとつの「複数の要素を一緒に並べる」データ分析では,出所の異なるデータを,ある軸,例えば2018年などに揃えて並べて比べるものです。

f:id:lionus:20191230131729p:plain

以下にそれぞれの例を示します。

  • 「分けて比べる」データ分析例

内閣府の「治安に関する世論調査」データより
https://survey.gov-online.go.jp/tokubetu/h29/h29-chiang.pdf
最近の治安に関する認識「あなたは、ここ10年間で日本の治安はよくなったと思いますか。それとも、悪くなったと思いますか。」に対する回答,男女別に分けて比べます。

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「よくなった」「どちらかといえばよくなった」が合わせて男性で4割を超えるのに対し,女性では3割にも達しません。反対に「悪くなった」「どちらかといえば悪くなった」が女性では約7割と,男性の5割あまりに対し多くなっています。つまり,女性の方が治安は「よくなった」と思わず「悪くなった」と思う割合が多く,性別による差があります。性別と最近の治安に関する認識に関係があるのではとみることができます。

上記は多肢選択式への回答比較ですが,次はマルチアンサー形式の回答比較例です。
「自分や身近な人が,犯罪にあうかもしれないと不安になる場所」について,あてはまるものすべてを選び回答してもらった結果を,男女別に分けて比べます。

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男女ともに「インターネット空間」が6割前後でもっとも多いですが,男女差はあまりありません。2番目の「繁華街」のみ男性の回答が10ポイント多い以外は,不安に思う場所は女性の方が多く回答しています。
「インターネット空間」については,顔の見えないバーチャル空間ゆえに,男女差がほぼないのかもしれない,なぜ「繁華街」だけ男性の回答率が多いのか?とか,回答率は比較的多くはないものの,エレベーターは女性が男性の2倍ほどの回答率で男女差が特に大きく,他人と密室で二人きりになる不安は,やはり女性の方が強く感じるのだなとか,分けて比べてみると色々と考える材料が出てきます。

  • 「複数の要素を一緒に並べる」データ分析

出所の違うデータ,今回は気象庁サイトから2018年月別の平均気温(東京)のデータと
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_s1.php?prec_no=44&block_no=47662&year=2018&month=&day=&view=
総務省統計局「家計調査」結果データ(家計調査(家計収支編)時系列データ(二人以上の世帯)月・全品目(2015年基準))のうち2018年月別のデータを使います。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/longtime/index.html#time

まず,2018年の1月から12月という基準で揃えた,平均気温とアイスクリーム・シャーベットの購入金額を折れ線グラフで一緒に並べてみました。

f:id:lionus:20191230133646p:plain
気温が上がればアイスも上がり,気温が下がればアイスも下がる相関関係がありそうなことが分かります。

次は,上記のアイスをビールの購入金額に差し替えてみた折れ線グラフです。

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気温が上がればビールも上がる,気温が下がればビールも下がる。アイスと同様に気温とビールも相関関係がありそうですが,12月は気温が下がるのに,ビールがぐっと増えていて,逆の動きになっています。どうもビールは気温と相関関係があるだけでなく,忘年会やお正月準備などの季節イベント要因も影響がありそうです。

といった感じで,上記気温とアイス&ビールについては散布図と相関関係について説明してもいいかな~と思っていたのですが,内容分量が膨れ上がってきそうなので,今回はとりあげないことにしました。

データ集計とデータ分析の違い(私見)。

今年度は仕事でコツコツと「心理学研究法」という授業の資料を作っていて,やっとこの年末に15回分のうち14回目まで出来あがって終わりが見えてきました。
「研究法」なのだけど,仕事依頼のうちで,卒論生がアンケート調査した後の処理が全然なっていない*1ので,

  • アンケートデータ入力のやり方とか,
  • ファイル形式の話とか,
  • フリーの統計ソフトの紹介(使い方?)*2等々

内容に入れて欲しいというご意見をいただいていたので,作成に着手する初期段階計画では,
(1)質問紙調査後のデータ処理(整理と入力)と記述統計
(2)推測統計
(1)と(2)をそれぞれ1回分ずつ割り当てるというざっくりした予定にしていましたが・・・
さて着手してみると,結構(1)の前半「質問紙調査後のデータ処理(整理と入力)」で尺度の水準の話をしたくなったり,あれやこれや細かい話が盛り込まれて当初の予想よりも膨れ上がってきました。このままでは(1)の後半「記述統計」のうちクロス集計は次の回にやらないとアンバランスになるということで,2回分の配分は,
(new1)質問紙調査後のデータ処理(整理と入力),データ集計
(new2)データ分析
ということに決めなおして,具体的内容の作成を続けました。

記事タイトルの内容を書きたいがための前置きがここまでずいぶん長くなってしまいました。

(new2)を作り始めるにあたって,なんとなく「データ分析」って題してしまったけれど,(new1)の「データ処理」および「データ集計」との違いは何か?ということにぶつかってしまいました。
「データ処理」については,データを統計処理できるまでの下準備段階(質問票にナンバリングしたり,コーディングしたりデータ入力したり)なのが(データ分析とは)違う,と明快に説明できるかなと思うのですが,「データ集計」と「データ分析」の違いはどう言語化したら・・・ともやもやしてしまいました。
なんかヒントはないかなと,Googleの検索窓に適当な言葉を入れて検索していたら,このページを見つけました。
www.dsk-cloud.com
「全体像を把握するためのデータ分析」「比較して判断するためのデータ分析」「仮説を検証するためのデータ分析」という見出しを見て,
ああそうか,
「データ集計」はそれぞれ1つずつの変数の状態を要約する統計処理で
「データ分析」は2つ(複数)の変数間の関係性についての統計処理

という感じだよね,とイメージが固まりました。

初期案のように(「推測統計」と対比して)「記述統計」と表現してしまうと,1変数について要約する方法(度数分布表,代表値と散布度)と,2変数間の関係性について表現する方法(相関係数,クロス集計,平均値の比較)ともに含むという感じになってしまいそうで。

ということで,
(new1)では「データ集計」は「単純集計」とも呼び,「数値の羅列である入力データを整理し,要約する」方法,度数分布表(質的データ・量的データそれぞれについての作り方byピボットテーブル)と代表値と散布度(Excel関数で求める方法も紹介)を扱い,
(new2)では導入として,研究アプローチには「記述的」「相関的」「操作的(すなわち実験法)」ってあったよねと示した上で,

  • 記述的アプローチ→ 度数分布表,代表値と散布度を求めるデータ集計によりかなり達成できる
  • 相関的・操作的アプローチ→ 相関的研究・操作的研究ともに,データ集計では1つ1つの変数についての結果しか得られないため,2つの変数(事象)の関係性(相関関係や因果関係)を調べることはできない,2つ(以上)の変数の関係性を調べる必要性あり

その,2つ(以上)の変数の関係性を調べることがデータ分析としてここからの話をすすめるよ!として,クロス集計と平均値の比較に進む作りにしてみました。

*1:ガチ心理学の学部学科でないので,結果的には「認定心理士」は取れるレベルではあるけれども,体系的な心理学訓練という点ではいまいちなのかもしれない。

*2:授業資料作成後数年間は大幅な更新ができないので,情報の移り変わりが激しそうなこの内容は入れられないなと判断。

家計調査データでどっきり。

リテラシー系の授業や,統計学系の授業で,総務省統計局の「家計調査」データをときどき使っています。
具体的には,気象庁からゲットできる,ある年度の月別気温と,家計調査データのチョコレートやケーキ,アイスクリーム,ビールなどの月別(平均的)購入金額をExcelでグラフ化したり相関係数を求めてみたりと,データ分析の初歩みたいなことをしてきました。
今回も「グラフでデータ分析の初歩」みたいな授業資料を作るのに,現在手に入る最新版のデータを使おうと,
まず気象庁のサイトで「東京 2018年(月ごとの値)主な要素」を検索・表示してデータをExcelに取り込み,
次に総務省統計局の家計調査ページ
www.stat.go.jp
から,2018年の家計調査年報(家計収支編・二人以上の世帯)の統計表のうち,
「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格 」の「食料「油脂・調味料」~「菓子類」」と「食料「酒類」~「外食」」のExcelファイルをDLしました。
www.e-stat.go.jp
家計調査の結果ってあれこれ細かく分かれていて,目的物を探すのが骨なのですが,まあ過去に何度か同じことをやっているので,うろうろしつつもなんとか目的ファイルをゲットして,さあ2018年の1月~12月のデータを取り出して使うぞとExcel画面スクロールしていたら,次のスクショで赤線をひいた「(参考)100世帯当たりの購入頻度(2018年)」という文字列が目に入りました。
f:id:lionus:20191229004042p:plain
これを見て,続く月別データって「(参考)100世帯当たりの購入頻度(2018年)」頻度?!単位は円じゃないの?!と,驚天動地(大げさ),今まで授業で「購入額,単位は円」とかずっと言ってきたのに,私今まで大嘘を言ってきたの?どどどどうしよう・・・となりました。

でも,同じ家計調査データを使っているらしきネット上の他のページでは,ある年の月別購入額をグラフ化して記事が書かれていたりするので,何か他の時系列データがあるのか?と家計調査ページをあちこち探していたら,まさにそういった時系列データをまとめたデータを今回初めて見つけました。
統計表一覧の「時系列表」のうち
www.stat.go.jp
「家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)」の「1. 品目分類:支出金額・名目増減率・実質増減率(月・年)」で「月」の「小分類まで」のファイルがズバリでした。
www.stat.go.jp
今回はこちらを使うとして・・・と,2018年の1月~12月データを眺めたら,先にDLした「家計調査年報(2018年)」のデータと数値が同じです。

つまり私は,先のスクショの赤線部分「(参考)100世帯当たりの購入頻度(2018年)」とは,それが記述されている42行目の数値だけのことで,その2行下の44行からの月別データには及ばないことを理解せず,ここから下は「頻度」としばらく誤解していたのです。

はあ~なんとまぬけな話でしょう。
でも,今まで授業で堂々と嘘を言っていた?!のではなくなったので,本当にほっとしました。
今までとは違う形のデータも見つけられたし,まあよかったです。

今すぐ使えるかんたんmini OneNote 基本&便利技[OneNote for Windows 10対応版]

今すぐ使えるかんたんmini OneNote 基本&便利技 [OneNote for Windows 10対応版]

今すぐ使えるかんたんmini OneNote 基本&便利技 [OneNote for Windows 10対応版]

皆さん、OneNote使っていますか?
Office三種の神器Word、ExcelPowerPointは長年使ってきましたし、Accessも仕事でちょっと使ったことがありましたが、OneNote、これ何するもの?よく分からん?ということで謎のアプリでした。
知人に、アメリカの大学ではリテラシーOneNote教えている」と聞き、そうかそれなら自分も使ってみよう、でも起動しても何をどうするのか皆目分からん、なので何か本を読んでからにしよう!と、Kindle版を買って読み、今はOneNoteをほぼ毎日使って、なくてはならない存在になってきています。

OneNoteは、その名の通りひとつのノートで、他に類似したものとしてはEvernoteがあります。(Evernoteは昔ちょっと使って放置したままなのですが)要するにログインすればどこからでもアクセスできる自分のスクラップブックを作れるツールです。

  • OneDriveと組み合わせて使うもの

OneNoteは、OneDriveアカウントと組み合わせて使わないとその能力を発揮できません。Onedriveアカウントと組み合わせて使うことにより、どこからでもどのデバイス(PC,、タブレットスマホ)でもアクセスして自分のノートを活用できるようになります。
なお、OneDriveとは、クラウド上のちょっとしたストレージサービスです。クラウド上に自分の物(Office等のファイルや写真など)を置いておける場所です。
OneDriveのアカウントをもっていなければ、アカウントを取得し、OneNoteのアプリを立ち上げ、OneNoteからOneDriveにログインしてOneNoteとOneDirveを紐つけます。

  • OneDriveで何ができるの?

文章はもちろん、画像も動画もファイルもぺったぺた貼り付けられるノート(スクラップブック)が作れます。
雑多なメモをまとめるのに、Wordファイルを毎月別に作って保存していたことがあるのですが、なんかコレジャナイ感が強く、三日坊主ならず三月坊主になりがちでした。
OneNoteでは、画像は「挿入」からもできますが、画像ファイルをドラッグ&ドロップでも入れられるし、スマホで撮影した写真を貼り付けるのもスムーズです。
動画は、例えばYoutube動画のURLをコピペすると、自動的にその動画が埋め込まれるので、貼り付けた後見返すときに(動画に関するメモなど自分で書かなくても)分かりやすいです。
ファイルを貼り付ける(添付する)ことはもちろん、印刷イメージを貼り付けることができる、例えばpdfなら普通にファイル貼り付け(添付)したらpdfのアイコン状態でページ上で表示されますが、印刷イメージで貼ると、pdf内容のイメージが表示されるので、ダブルクリックして開かなくても中身が分かり見やすいです。
またWordと違って、OneNoteでは書き入れたものがコンテナ(テキストボックスみたいなもの)になっていて、ノート上の好きなところにドラッグして移動配置できるのが私はとても気に入っています。
例えていえば、大きなノートの見開きページの自分の好きな位置に写真を貼り付けて自分のメモをその横に書いたり、付箋メモをぺたぺたあちこちに貼り付けたりできるイメージです。

  • Wordでメモを書くのと何が違うの?

WordはOneNoteと同じように、文書内に画像などマルチメディア的なものも貼り付けられます。WordファイルをOneDrive内に置き、Wordアプリ経由でOneDriveにログインすれば、どこからでもそのWordファイルを編集できます。
したがって、特にOneNoteと違いはないのでは?と思われるかもしれません。私も当初そう感じていたのですが、OneNoteの大きな特徴のひとつに、情報を構造化(階層化)して蓄積できるがあると思っています。
具体的にいうと、OneNote=ひとつのノート、と言いながらもノートは複数作れます。当初私はてっきり、その名の通りひとつのノートに何でもかんでも放り込むのかと思っていましたが、そうでもなく、ノートは目的別テーマ別などに複数作ることができます。
さらにOneNoteが優れているのは、それぞれのノートをさらに「セクション」に分け、その「セクション」の中(下)に「ページ」を何個も追加できる、つまりノートーセクションーページの三層構造で階層化できるということです。
私の例でいうと、複数の学校で授業仕事をしていたり、その他にもときどき研究っぽいことをしていたりするので、仕事先別とかでノートを作っています。さらにひとつの仕事先で複数の科目を担当していたりするので、科目別にセクションを作り、情報を書き込む日別にページを分け、随時授業に使える情報とか、教材作成進捗状況などを入れています。特定の仕事先に限定されない内容や、今日は○○の仕事(作業)をした等の日報、ToDo、生活上の雑多メモなどは年別(例:2019)ノートでセクションを月(例:10月)、ページを日(例:1009=10月9日の意)に分けて情報を入れています。
情報を構造化(階層化)という点では、もしかしたらExcelでもできるかもしれませんが、ファイルーシートの2階層までだと思いますので、やはり3階層まで可能なOneNoteの方が有利です。

www.1101.com
ほぼ日手帳」というリアル手帳がありますが、何でもぺったぺたと貼り付けて情報蓄積できるという点では似ているのかな?
ほぼ日手帳」私は使ったことがないので、分かりませんけれども、そんな感じがしています。
いずれにしても、あっちのファイル、こっちのファイルと情報が分散していたのを、OneNoteにかなりの程度一本化できるようになったのは非常に有難いです。
皆さんぜひ一度使ってみましょう(^^)

井深大:生活に革命を

「ミネルヴァ日本評伝選」のひとつです。
図書館で見かけたので何となく読んでみました。

「はしがき」xiii
こうして超越と逸脱を一身において体現していた井深という魅力的な人物を科学史の中に位置づけて過不足なく評価し、一方で井深が身をもって生きた「科学」のあり方を、井深の人生をたどることで確認する。そんな目的意識をもって本書は書かれた。
「はしがき」xiv
こうして井深の人生を縦の座標軸として「科学」と「非科学」のゆらぎを描き出そうとした。

ソニー創業者井深大の評伝という形をとりつつ,科学哲学のような内容でした。
晩年幼児教育(早期教育)に関心をもち活動されていたということは知っていましたが,東洋医学の「気」や「脈」に強い関心を寄せていたことは知りませんでした。
若い頃は「電波」に魅了された発明少年,晩年は「気」や「脈」に強い関心をもっていた。
目には見えない不思議な力にひかれる「電波系」なのは共通していますが,何が違っていたのか。

pp.278-279
科学的思考は常にその時点の科学によって埋められていない余白を埋めようと目指す。これは古今東西の科学者に共通する志向だ。誤解を恐れずに言えば、科学者とは一般人には奇異と思われる仮説を持ち出しては不可思議な現象の説明をしようとするという意味で誰もが電波系なのだ。
電波に始まり、「それ以外」も含めてコミュニケーションの可能性を追い求め、自分の力で実用化したいと望む。そうした井深の思考のパターンが、まだまだ自分の頭と手によって新しい分野が開拓可能だった発明家肌の強かった過去の科学者だけでなく、最先端の科学者たちにも共通するものであることは否定できない。
しかし、科学者たちの仮説は、説明できる範囲を広げ、実証実験が重ねられることで科学としてオーソライズされてゆく。それに対して晩年の井深が開拓を目指した未開の地平は、彼自身が新しい「科学」としての最先端の物理学や生理学の趨勢をフォローできていなかったという限界もあってむしろ過去に「科学」の大勢が「非科学」と認定してきた民間医療や神秘主義に近い印象を与え、凡百の「後退的」ニューエイジ・サイエンスと同じ轍を踏んでしまった。そんな井深の限界はきちんと見極めておくべきだろう。

しかしそれでも・・・

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発明少年からソニーの経営者となって高度経済成長期を牽引していた頃の井深を(日本社会からキツネ憑きの迷信を消失させるなどに貢献した)合理的科学的な脱魔術化のひと、晩年の井深を再魔術化のひとと二分するのはおかしい。発明家が個人で生き生きしていられた科学技術の牧歌的な時代に培った感性のままに好奇心を絶やさずに井深は生きた。その人生は徹底的に一貫していた。井深を慕い敬う人は「ボケ」云々がささやかれる前と後で、すっかり顔ぶれが入れ替わってしまったように感じられるが、そのいずれの人々をも魅了したのは生涯を通じて新しい技術を求め続ける発明家的科学者として生き抜いた、無垢にして純粋な井深の魂だったのだろう。