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数理法務概論

数理法務概論 -- Analytical Methods for Lawyers

数理法務概論 -- Analytical Methods for Lawyers

  • 作者: ハウェル・ジャクソン,ルイ・キャプロー,スティーブン・シャベル,キップ・ビスクシィ,デビッド・コープ,神田秀樹,草野耕一
  • 出版社/メーカー: 有斐閣
  • 発売日: 2014/03/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まずはAmazonのページのカスタマーレビューをお読みください。lionusが書くまでもなくそこに本書の素晴らしさが的確に述べられています。
それにしても,決定木分析,ゲーム理論ファイナンス理論,ミクロ経済学,法の経済分析,といったそれぞれの分野の要点について,数式を使わず言葉と図表だけで示されているのは本当にすごい。
さすがに,終わりの2章「統計分析」と「多変量統計」についてはものすごーく遠慮がちに数式を出してきましたが*1
本書で個人的に収穫だったのは次の点です:

  • ナッシュ均衡について文書のみで読め分かった気になった。
  • 逆選択についても同様
  • ロナルド・コース「企業の本性」The Nature of the Firm(という論文)の内容について読めたこと(ピコーン!と来た,やばい)
  • バーリー=ミーンズ『近代株式会社と私的財産』(所有と経営の分離問題の端緒,これだったのか!)
  • 独占的競争(monopolistic competition)の概念(以下引用)→所謂士業の各種の業務を考える際に応用可能っぽい

pp.322-323
独占的競争(monopolistic competition)」とは,「企業の数は寡占の場合よりも大きいが(例えば,ある市内におけるすべての理髪店),各企業は何らかの点において他社とは異なった生産物を生産しており(各理髪店は固有の所在地に店を構え,おそらく散髪の方法にも独特のスタイルがある),自社の行動に対して他社がどのように反応するかをあまり気にしていない市場」を意味する言葉である。独占的競争で重要なことは市場参入の問題であり,競争により超過利潤が失われるまで企業の市場参入が続くという特徴がある。独占的競争下にある企業はいずれもある意味で小さな独占企業であるが,相次ぐ新規参入によって各企業が直面する需要曲線は左にシフトするので,いずれの企業も大きな利潤を得ることはできない(例えば,各理髪店のサービスには少なからぬ独自性があるとしても,その大半の利潤が消滅するまで新規理髪店の参入は続くであろう)。

*1:p.464で「この式をみてやる気を失くさないでほしい。」と書かれているところで吹きました。