あなたは大学で何をどう学ぶか― 一生モノの研究テーマを見つける実践マニュアル

「あなたは大学で何をどう学ぶか」というタイトルで何を想像しますか?
アカデミックスキルの話かな?と思って手に取ると、本書の内容はそれにとどまらない、もっと大きな抽象的な内容、ずばり「問題解決」について、具体的な方法論を説いているので、ちょっと意外というか驚かされました。
主に理系の学生が研究室に配属され、卒業研究を行うという前提のもと、卒業研究(研究)の進め方について、価値工学(VE:Value Engineering)および発明的問題解決思考(TRIZ)といった問題解決手法を元にして、丁寧に説明しています。

p.125
 研究の背景には何かしらの問題が存在していると説明しました。いうまでもなく、問題があるのは研究の世界だけではありません。将来、専門分野は変わるかもしれませんが、どのような職についても問題はついて回ります。つまり、生きていくということは問題解決の連続なのです。
p.125
 価値の創造は問題解決、実はこれが本書で紹介したいテーマです。
p.125
世の中のあらゆる商品、つまり製品やサービスは、人びとの何かしらの問題や不満を解決するために存在しています。もちろん、それらを手に入れるために、人はその対価としてお金を払います。お金はモノやコトの価値を表す指標なので、あなたがお金を稼ぐことと、価値を創造することは密接に関連しています。「価値を創造する」ということは「人の役に立つ」ということです。「人の役に立つ」ということは、その人の抱える問題を解決するということです。つまり、価値を創造するためには、問題を解決しなければならないのです。

p130
ある分野に特化した専門性を身につけることにも多くの大学生が不安を抱えてしまう現状を踏まえ、私は本書を通じて、企業で活用されている問題解決の正しいプロセスをもとにした方法論にまず注目してみることを提案しています。先ほど資格には流行り廃りがあると述べましたが、本書で紹介した問題解決の方法論はかなり普遍的なものだと考えています。なぜなら、社会がどのように変化したとしても、私たちが生きているかぎり問題はなくならないからです。この方法論は仕事や私生活関係なく、さまざまなシーンで発生する問題に対して活用できます。つまり、問題解決のスキルはあらゆる状況を通じて継続して磨いていくことができるのです。

心理学の卒論は問題解決の方法論を身につけるのに有用だ、とかねがね思ってきたことに、きちんとした証拠が提示された感じでうれしいです。
本書で紹介されている企業等で使われている問題解決手法、価値工学(VE:Value Engineering)および発明的問題解決思考(TRIZ)について、もっと勉強して研究だけでなく公私ともに活用してみたいと思いました。