私道と公道の物語―横浜でのある実践記録

工学部ヒラノ教授シリーズの
工学部ヒラノ教授と七人の天才

工学部ヒラノ教授と七人の天才

  • 作者:今野浩
  • 発売日: 2013/03/22
  • メディア: 単行本
「第2章 三階級特進のロールズ助手」で

p.61
30年近くに及ぶ助手生活から誰の手も借りずに脱出し、学者スゴロクの”上がり”というべき学長ポストを手に入れたのである。

pp.60-61
軍隊で言えば、2年前に軍曹だった人が、尉官、佐官を飛び越えて大将になったようなものである。このようなことは、日本の大学史上最初ではなかろうか。

と、まさに「七人の天才」のひとりとして言及されている先生の著書のひとつで、

pp.57-58
 (藤川氏の専門分野での著書は献本されても)どれも前書きしか読まなかったが、1993年暮れに朝日新聞社から出た、『私道と公道の物語』と題するドキュメンタリーを読んだ時の驚きと感動は、今も忘れられない(この本だけは、今なおヒラノ老人の本棚に置かれている)。

と書かれていて(上記冒頭丸カッコ内はlionusの補足)、ずっと気になっていた本書を、やっと読みました。
ヒラノ教授がお書きになっている通り、ロールズの正義論を実問題に適用して解決したすごい記録になっています。
とりあえずAmazonサイトにあった内容紹介文と、

不在地主が謝礼を要求。道路がない公図。登記所が転記ミス。私道が不動産会社の抵当に、などなど、多くの難問を「正邪の論理」で解決し、わが町を美しく蘇らせた報告書。

「はじめに」からの抜き書きを貼り付けておきます。

pp.1-2
 公衆用道路(二項道路)と呼ばれる公道もどきの私道が全国いたるところにあり、これが紛争の種となっている。
 小著では、典型的なトラブルの一例として、公衆用道路に指定されていながら、公道に移管できず、また本下水道の指定区域とされながら、敷設の見通しがたたず、そのために家をいじることさえできない(建築確認が下りない)といった深刻な問題に悩まされていた横浜市の通称「ソフィア通り」のケースを取り上げてリポートした。

謝礼=本書では「ハンコ料」を要求した不在地主のうち最も有力な某氏は、この「ロールズ助手」のような人を内心待っていたのだと思います。
「小さく叩けば小さく鳴り、大きく叩けば大きく鳴る」という、どこかで目にしたフレーズを想起しました。