工学部ヒラノ教授とおもいでの弁当箱

工学部ヒラノ教授とおもいでの弁当箱

工学部ヒラノ教授とおもいでの弁当箱

いつの間にかまた工学部ヒラノ教授シリーズの新刊が出ていました。
ちょっと前,『工学部ヒラノ教授の介護日誌』を読んで,その内容の鬱さに「工学部ヒラノ教授シリーズはこれで最後になってしまうのではないか?」と思ったのですが,また新刊に出会うことができて,安堵しました。
幼稚園の頃から現在まで,その時々に食べていたものを軸とした思い出話の本です。
相変わらず面白かったですが,短くまとめると:

  • 母の食事はなんともまずかった(+長男三男の間でないがしろにされていた恨み言)
  • 妻の作る食事はうまかった

全15章のうち,11章以降は奥様が難病を発症されて介護する側=「食べる人から作る人に」なってからの話です。
そして2011年に中央大学を定年退職されほぼ同時に奥様を亡くされた後,工学部の語り部として執筆活動を軸にしたなんとも規則正しい生活ぶりが食生活を鏡として書かれています。
仕事と配偶者を亡くした後の心の空白は,そのような生活ぶりが唯一の支えになっているのかな・・・と拝見しました。

また同時に,これだけ食べ物のことを書けるのならば,まだしばらくは工学部ヒラノ教授の新刊を読み続けられるかな・・・と思ってみたり。