「静かな人」の戦略書:騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法

「世界的ベストセラー」であり、さらに「内向型が静かな力を発揮する法」とサブタイトルにあるので、バリバリの内向型*1である自分は必読!と、手にとってみました。
内向型がそれなりにアメリカのようなイケイケドンドンの文化でサバイブしていくための、細やかなノウハウと並行してそのベースとなる考え方(意識のもちよう、心のもちよう)を提案している点で、非常に実践的な内容と拝見いたしました。
ただ、本書は、読めばその日からなんかいい感じになる、なんかうまくいく(感じがする)という所謂キャリアポルノ的な内容というより、あくまでも地道な努力・準備を推奨するもので、著者提案を本気で実践できる”内向型”は結構限定されそうな気がするな~と思ったのでした。
つまり、内向型だけれども成功したい野心があるとか、内向的でかつ、自分と真摯に向きあう強さと知性がある、とか、ある程度のレベルが必要だなと感じました。

*1:複数の性格検査で内向性が大体95パーセンタイルのレベルに入る。極内向。

NTPについて調べていたら。

授業でインターネット上のいろいろなサービスとそれぞれのプロトコルについて説明するため色々と調べていたら、
こんな動画に出会い、やっぱ時刻合わせって大切だよなあと思い、
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このチャンネル面白そうじゃんと思い、ちょっと過去動画見ていたら、保育園落ちた問題で東京から広島へ移住した話とか、
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なかなか面白そうだと思ったのでチャンネル登録しました。
ちょっと週末色々見させていただきますです。

日本でインターネットはどのように創られたのか? : WIDEプロジェクト20年の挑戦の記録

WIDEプロジェクトの活動について、2009年に出版された本です。
読んでいてわからんな~というところは多々あったのですが(自分の技術的な知識が足らないゆえであり、本書の書き方が悪いわけではないです)、日本のWIDEプロジェクトは、世界のインターネットの発展について技術的な貢献度かなり大であったことに驚きました。

ネコはここまで考えている 動物心理学から読み解く心の進化

博士論文みたいな作りだな~と思ったら、やっぱりそうでした。著者の博士論文をもとにした本だそうです。
したがって参考文献もきっちり載っているし、論文に載せたと思われる図表(グラフなど)が巻末についています。
ネコが「考えている」ことについて、心理学実験を積み重ね迫っていく様を読むことで、実験系心理学についても知ることができてネコ好き心理学興味ありの人向けの一石二鳥な本かもしれないです。

闇バイト―凶悪化する若者のリアル

本書の著者は、育った家庭環境がよくなく、「10代半ばまで非行の世界にドップリと浸かっていました」が、「同僚や先輩から「中卒は天然記念物」と馬鹿にされたことを契機に、23歳で一念発起し、通信制高校、大学、大学院と進学することで学び直しを試み」、犯罪社会学者として活躍されておられる方です。
保護司でもあり、裏社会関係者への豊富なフィールドインタビューと、それらをもとにした著者の主張が印象に残ります。
「使い捨てにされる者はやがて「失うものがない無敵の人」になる」
「負の回転ドアを回し続ける無敵の人」

p.186
 再犯という負の回転ドアを回し続ける無敵の人は、未来がある若い年齢であることが多いのです。彼らを社会的に排除し、口座も持たせない、携帯も持たせない、住居の賃貸契約もさせない、就職もさせない状態に置くことで、じつは、新たなシノギが生まれます。
 それはたとえば、ヤミ通帳であり、ヤミ携帯です。使い捨てにしたはずの人間をシノギのネタにする。骨の髄までしゃぶるのが半グレです。そして、彼らは、再び犯罪に走る(一般の仕事に就けないために、走らざるをえないのです)。

p191
 再犯者や累犯者は別としても、闇バイトに巻き込まれた初犯者をワンストライクでアウトにすることは、犯罪社会の人口を増やし、新たな被害者を生み出し続ける可能性がある。困窮して、脅されて、あるいは無知ゆえに闇バイトに巻き込まれる初犯者への対応をどうするのか――今後の半グレによる犯罪対策を考える上で、考えなくてはならない最重要課題であると筆者は考えるのです。

「やり直したいと思った時に一歩踏み出せる社会に」

p.204
 2013年から2022年までの過去10年間で特殊詐欺に関係して逮捕された者の数は、2万4244人

p.205
 この中に、反社会的勢力構成員と常習犯がどれだけ含まれているのかは不明ですが、かなりの初犯者がカウントされている可能性があります。そうした初犯者を、反社会的勢力構成員や特殊詐欺犯罪常習者と同様に、逮捕して刑事施設に入れることで、学校は退学、職場は解雇されるなど――社会的紐帯を切って排除することが現実的とは思えません。そのような厳しい処置は、裏社会の人口を増やすだけ、無敵の人を増やすだけです。何より、初犯者の社会的紐帯を切って前科者のラベルを貼って排除することは、将来的に新たな被害者を増やす可能性があり、改善の余地があると思います。

アクションリサーチ入門 社会変化のための社会調査

アクションリサーチって、聞いたことあるよな、社会変化のための社会調査ってなんだろうと思い、図書館の新着棚で見かけ借り出してみました。
かなり網羅的に書かれていて、確かに「入門」なのですが、訳本のせいなのか、実際に実施したらどんなイメージなのかがいまいちつかめませんでした。
日本人の先生によって書かれた本もあれこれありそうなので、それらを読んでみてまた本書を読むとまた新たな発見があるような気がします。とりあえずメモメモ。

心理職の仕事と私生活 若手のワーク・ライフ・バランスを考える

日本心理臨床学会の「若手の会」の ”仕事と私生活” に関する企画から生まれたという本です。
それぞれの筆者が心理士としていかに働き、どんな生活を送っているか*1、驚くほど率直に書かれています。
自分は心理臨床に関わらなくなって10年以上経つので、浦島太郎状態ですが、臨床心理士という資格が定着し、そして国家資格の公認心理師ができた現在でも、心理職として働いてゆくのは、仕事内容そのものの大変さは別に、非常勤職が多く待遇がよくないとか安定しないとかの悩みはあまり変わらないのではないかと、外側からみて感じていました。
若手心理士(働き方は色々)による本書を読んで、まだまだ変わっていなくて、なかなか大変な状況は続いているなとは思いました。
他方で、自分の人生(ライフ)をかけて心理の仕事をやっているという気概も全然昔の人たちと変わらないな、けれどもその気概をどうやってどんな場所で実現してゆくのかは、もっと柔軟で多様化しているなとも感じました。

*1:お金とか社会保険とかとても具体的現実的なところまで。