高齢者心理学 (朝倉心理学講座)

高齢者心理学 (朝倉心理学講座)

高齢者研究は難しそうだな~と思いました。
まず,今まで生きてきた歴史が長く,個々の背景が多様なため,独立変数を見極めることが難しいということです。
また,データの解釈に一癖ありそうなところです。

p.130
健康度自己評価は,高齢になるほど,「非常に健康だと思う」という回答が多くなる。また,医学データに基づく客観的指標では,高齢になるほど,疾病や障害を有する人が多くなるが,それに反して,自己評価による健康度は良好になる人が増えていた。両者は必ずしも一致しないのである。不可思議なことではなく,これは老年学の常識である。

「老年学の常識」,というところで思わず笑ってしまいました。そうなんだ~
ほか,有名なエリクソンの心理社会的発達段階の第8段階「統合性 対 絶望」の次,第9段階というのが出てきているらしいということを読みました。

p.142
第9段階の課題を達成するためには,それまでの8つの段階とは異なって,その前での段階での課題達成が必要であるとは考えらえていない。反面,第9段階では以前に解決された危機ともう一度対峙することとなる。例えば,寝たきり状態といった身体的能力の著しい低下に見舞われた高齢者は,自らの能力に対する不信感に襲われる。そこで他者の介護のもとで,第1段階の発達段階であった基本的信頼感を再獲得することが求められるのである。
このような危機的状況を乗り越えた超高齢者は,どのような心理的発達を遂げるのであろうか。ジョアン・エリクソンは,第9段階の危機を乗り越えた個人が獲得する心理的特性は,トレンスタムが提唱している老年的超越(gerotranscendance)であるとしている。