NIIの「4月からの大学等遠隔授業に関する取組状況共有サイバーシンポジウム」(追記あり)

新型コロナウイルス感染症対策に伴うICTを活用したオンライン教育等の取り組みについて - 国立情報学研究所www.nii.ac.jp
上記ページに出ている2020年3月26日に行われたオンラインシンポジウム,知らなかった。参加したかったなあ。どういう方法で告知していたんだろう。
公式Twitter
twitter.com
をざっと見ても特に投稿なかったようだから,一部関係者間で共有されたにとどまっていたのかな。
まあいいや。
pdf等で配付資料が公開されているので,大体の中身は後からでも分かるのが有り難いです*1
(3/30追記)pdf資料に加えて映像もあがっている。すごい。後で見よう。

「配付資料」をざっと拝見しての感想というかメモ。

  • 東大

ほぼ全ての授業をオンラインで実施する方針に向かっていった過程。
バタバタと,しかし危機感を共有した部署間のスピーディーな連携。
走りながら考えるという感じが出ている。
新入生3千人への指令(新入生ポータルを見ろ)と,それに対する見れませんできませんへの対応はすごい。
参考:
utelecon.github.io

  • 名大

名大における講義実施の基本的考え → 岐阜大が3月18日付けで示した資料と共通点が多いように感じた。
参考:岐阜大「新型コロナウイルス感染症に関する岐阜大学からのお知らせ」
「講義が実施できない場合の代替措置」の選択肢が3月17日の学内会議で承認されているのは早い。
基本的方針
「オンラインビデオ講義の「全面的な導入」は,現実的でない」
「技術的に先走らず,学生・教員に負担をかけないこと」
「LMSにおける教材作成の注意」
「遠隔講義コンテンツを作成する上での TIPS」
→ 上2つ,簡潔にして当面の用途には必要十分なポイントが示されている。
平成30年度の「利用可能な通信手段」学生アンケート(回収率36.9%)
→ 限定的な情報だが,光回線・CATVの所有率は半数程度なのは考えもの(授業のオンライン化による「パケ死」の可能性を指摘)
サポート体制について

  • 京大

「学生のBYOD化 2016年度新入生から展開、LMSの利用なども英語科目で展開」→ へーそうなんだ。

高等教育研究開発センターが中心となって
• オンライン授業支援サイト「Teaching Online@京大」
• オンライン授業に関する対面・オンラインによる講習会・相談会を実施

学生のネットワーク環境
• 一定数(20〜30%と予想)が携帯電話回線を利用
• セイフティネット:来学させてWi‐Fi を利用させる。

国立9大学+通信制1大学への,オンライン授業への準備状況アンケート集計結果
海外のオンライン授業の実施状況紹介
米国,韓国,台湾
「中国、2月17日から幼稚園小中高大学生2億7000万人がネット授業に」
「おわりに」→ むっちゃ重要なポイント列挙

  • 九大

「授業開始は4月15日から(1週間繰下げ)」
「対面講義を実施予定(今のところ・・・) 一方で,オンライン実施への備えは必要!!※自宅待機者への対応,学部,学科単位での閉鎖など」
「2013年度より全学生がPCを所有」→ 確かPC教室廃止したよね?
参考:(2014年~2017年にかけて移行?基本的にPC教室はないっぽい)
www.itmedia.co.jp
以下かなり具体的

3種類の実施方法を検討
①eラーニング
・事前学習
・フォーラムや音声通話を利用した質問応答
②ネット同時配信(プランA)
・教師の説明を配信(音声のみ)
・デジタル教科書を閲覧
③ネット同時配信(プランB)
・黒板講義を映像中継

ただし,
「自宅に高速定額回線が無い学生への対応」が課題
「約3割の学生が自宅に高速なインターネット環境を持たない 数年間の調査でその割合は大きく変動していない」
以下実施報告もすごい

実施報告:オンライン試行授業 2020年3月25日13時30分~

オンラインビデオ閲覧(10分)
・アップロードしておいたビデオ教材をストリーム再生
オンラインビデオ講義(10分)
・黒板講義を生中継
オンライン音声講義(10分)
・教師の説明音声を聞きながらデジタル教科書を閲覧
質問投稿(5分)
Moodleの質問フォーラムに質問を投稿

複数の授業形態を細切れで”実施実験”している。今回とったデータは後で論文とかになるのかな~
アンケート結果は実数(人)だけでなく%も併記して欲しかったな。

上記,京大と九大はラーニングアナリティクスやってるしやってるし!やるぞやるぞ!的な姿勢が印象的だった。

「授業目的公衆送信補償金は、文化庁長官が指定する指定管理団体(全国を通じて1個に限る)のみが権利行使できることが予定されている」
平成31年2月15日に「一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会」が指定管理団体として指定された」
この協会の代表理事は弁護士で,吉備国際大学大学院知的財産学研究科特任教授
吉備国際大学加計学園グループ・・・うーん・・・アベ友・・・?
3月4日付けの文化庁著作権課による事務連絡文書付き
新型コロナウイルス感染症対策に伴う学校教育におけるICTを活用した著作物の円滑な利用について」
オンライン授業で著作物を”公衆送信”することになるかもしれないけれど,そのとき著作者の権利について,(通常の公衆送信と同様に)ゴリゴリに主張するのはちょっと考えて欲しいな的な文書?

*1:数時間前に「参考資料」のリンクから飛んだ先の共有ファイルは,zip形式だったのに,この記事書く際に再度リンク先見たら1個1個のファイルになっている。どうしてだろう。zipで固めるなとか言われたんだろうか。