サラ金の歴史―消費者金融と日本社会

サラ金について経済史(金融史)の立場からまとめた本です。
広範な資料を豊富に使い、類のないユニークな内容になっています。超おすすめ本です。
家計におけるジェンダーの視点やら、サラ金の仕事には感情労働の側面があるとか、縦横無尽な書き方がすごかったです。
(従来説と異なり)友人知人を対象にした「素人高利貸」をサラ金の源流と位置づけた本書は、最後に、近年SNSを利用して規制の埒外にある「素人高利貸」が再び出現しているという話題にたどり着いています。

p.304
 本書は、サラ金業者の非人道性を告発・暴露するというより、その経済的・経営的な合理性を、あくまでも内在的に理解しようと努めてきた。いかに強欲で異常に見えても、人間の経済的な営みである以上、その行動はある程度までは合理的に説明できるはずである。それが、本書の基本的な立場だった。

p.318
 経済合理性や技術革新がもたらすものは、経済成長や生活水準の向上だけではない。経済合理的であるがゆえに引き起こされる問題を歴史として跡づけていくことは、経済史の勉強を生涯の仕事と思い定めた自分にとって、意味のある宿題であるように思われた。