ビッグデータと人工知能 - 可能性と罠を見極める

2016年初版で、自分が読んだのは2019年8版(8刷ではなくて?)です。
人工知能に関係する情報科学の事項をあれこれ解説しながら、著者先生の人工知能に対する意見を述べておられます。
この分野の知識が乏しくても、人工知能というものの理解に必要(と著者が考える)周辺知識から説き起こしてくれるのと、たたみかけるように同じような内容を表現を変え繰り返し提示してくる書き方*1なので、頭が迷子にならず読みやすかったです。
技術的なことには深入りしないのも、世間の大多数を占める文系人間にはやさしいです。

本書のキモは、「生物と機械のあいだの境界線とはいったい何か?」(p.105)で、「実はこれが本書をつらぬく基調テーマなのである。」(p.105)と書いている通り、自分は一番面白かったところです。
やはり、生物(人間)と機械(人工知能)は本質的に異なるものだから、所謂シンギュラリティ仮説はおかしいというのが書かれています。

*1:大事なことは何度でも言い方を変えながら提示しつつ、文章としておかしなことにならずまとめてくるというのは、非常に頭のいい人じゃないとできない技ではないかと、本書を読んで感じました。