東京大学の先生伝授 文系のためのめっちゃやさしい 天気

東京大学で気象学を教えている」渡部雅浩先生と、「数学アレルギーのさえない文系サラリーマン(27才)」との掛け合いで、「天気」のしくみについてやさしく学べる本です。
「低気圧」「高気圧」とはどんなものか、天気は「気圧」と「風」で決まるとか、本書の大半は春夏秋冬の日本の天気について題材に説明されています。
現象を多分ものすごく単純化して説明してくれているのだと思いますが、本質的なところをがさっと鷲掴みして示してくれている感じが、自分にとってよかったです。
最後の高層天気図のところはちょっと難しくて理解できなかったのですが、1週間以上先の天気の長期予想について、条件を変えた複数のデータを用意して計算し、その平均値をとる「アンサンブル予報」とか知れて、データ分析好きとしては興味深いといころが沢山ありました。

データサイエンティスト入門

「データサイエンス入門」ではなく、「データサイエンティスト入門」なのがミソです。
データサイエンティストとはどんな職業か、どんな知識・スキルが必要か、といったことがざっくり書かれています。

pp.164-165
 社員全員がデータサイエンスに関する専門的な知識を持つことは不可能です。しかし、専門性のあるデータサイエンティストが分析した結果を理解する能力は求められます。必ずしも深い知識は必要ないのですが、データや数字というだけで苦手意識を持つ人が多いようです。

p.184
 データサイエンティストに最初に求められる能力は「数値感覚」です。すべてのデータ群において、平均的な値はどれぐらいかという感覚を持つことは不可能です。たとえば、前出の例で言えば、日本人が平均的にテレビをどれくらい見ているのかなどは、広告業界の人でなければつかめないでしょう。しかし、平均の時系列変化のデータを見たときに、今回のデータでは、「個々のデータのバラツキが大きいのではないか?」と疑うことはできます。データの特徴を理解するために、平均値の変化を見ているだけでは、データを見誤ってしまいそうだという感覚を身につけることが重要なのです。
 絶対的な数値の水準に対する感覚ではなく、データの背後に隠れた特徴を知る感覚がデータサイエンティストに求められる「数値感覚」です。この感覚は、必要最低限の知識と、データ分析の経験を通じて、身につけていくことができます。様々な形態のデータ分析(集計)を経験することで、自然と身につく感覚なのです。

ほんとそうそう。
ともかく手を動かして実際のデータを分析して、そこから何らかの知見・考察を引き出す練習をするにつきます。

保健所の「コロナ戦記」TOKYO2020-2021

現在、特別区の保健所で公衆衛生医師として勤務中の、まさに渦中にいらっしゃる先生が書かれたご本です。
新型コロナで一時言われていた検査の”目詰まり”や、入院調整が難航することなど、何であんなにあれこれゴタゴタバタバタしているの?の実像の一端を覗かせてもらえる本でした。

p.372
考えれば考えるほど、保健所について簡単に分かるものなど、この世にないのではないか、という気がしてきたからである。

私は昔、保健所や保健センターで非常勤でちょこっとだけ働いたことがあるので、多少は保健所について見聞きしたことはあるけれど、病院(医療機関)との区別がついていないのが一般的な認識でしょうね。

pp.378-379
 2020年から2021年にかけて、保健所→都庁→保健所と異動した私にしかできないことがあるならば、多少の文章力を、議会答弁や、のりとの作成ではないことに活かし、COVID-19の発生当初から現在まで、各事業の立ち上げを行った側と、使用する側の両方の立場を経験した者にしか書けない内容を書き残しておくことだと思い立った。

航空安全とパイロットの危機管理(改訂増補版)

入社以来42年間、一度も病欠などでスケジュールの変更なく飛び続け、”グレートキャプテン”と呼ばれたベテラン機長による本です。
著者のサイト:
kobayashihiroyuki.com

ヒューマンファクターの視点からの事故防止対策として、CRM(Crew Resource Management)というものが航空分野ではあること、その他長年の機長による経験からの、事故を起こさず安全に飛び続けるための心掛け・考えを色々読めてよかったです。

長年の経験からの心掛け・考えに関わるキーワード:

  • 謙虚と自律の文化 「謙虚」は字句通りとして、「自律」とは?

p.40
 自律とは、言葉を換えれば自助努力・自己責任である。人は、うまくいかないと、他人のせい、会社のせい、制度のせい、機材やコンピューターのせい、天候のせいなどと、その原因を他や外に求めてしまいがちである。

p.41
自分、自社以外の要因は原因ではなく、条件だという意識が必要ではないかと思う。これは究極の自律心でもある。

  • 危機管理は重要度の選定が大切

p.122
 「この業務では何が大切か」、「今、何が一番大切か」という重要度の選択は、日々の仕事でも危機に陥らないためにもとても重要なことである。

p.122
 後年、自分が機長昇格の訓練教官になったときには、重要度の選択が出来ていないパイロットは、進歩も遅く苦労をしていた。どんなことがあっても安全を確保するという危機管理が最重要課題である機長業務には、その時々、その場その場の状況に応じて重要度の選定能力は絶対に必要条件である。

  • 「意思決定」「意志決定」の違い

p.129
 一般に個人の意向を決める用語には意思決定と意志決定の二つがある。意思決定は「そうしたい強い思い」でことにあたるという意味を含んでいる。意志決定は明確な意向をもって行動を決めるときに使用する。従って、危機管理では意志決定という言葉が適切である。

  • 意志決定には判断と決断とがある

p.129
実は判断と決断には違いがある。

p.130
判断には一般に基準、正誤があり、決断には覚悟が要る。

p.130
「判断は頭」で「決断は肚」で、というアドバイスしている。

  • p.220「お互いに信頼しても信用するな」 →よく聞くけれど「信用するな」に違和感が・・・

p.220
だが「信用するな」という言葉には少し、スッキリしない気持ちが残っていた。

p.220
 "Trust but Verify"(信頼する、しかし確認する)という言葉

→なるほど。信頼するけど、確認のために・・・という感じか。

1冊で学位 心理学

図が多くて字が詰め込まれていないので、”絵本”のように読めます。
しかし書いてあることは、文章の分量は少ないですが結構ガチな内容です。
学士、じゃなくて学史の流れを意識して構成されていることが好感を持てました。

一人暮らし4台目の洗濯機。

年末に洗濯機の調子があやしくなってきたので、今何年目だっけと、過去日記を探ると
lionus-old.hatenablog.jp
2012年のやはり年末に洗濯機の動作がおかしくなり、急遽ヨドバシで注文して置き換えしているので、ちょうど9年ということのようです。
ちょっとぐぐると、洗濯機は平均的に10年くらいで買替えられているよう*1なので、もうちょっと保って欲しかったけれども買替えるかということで、以前と同じくヨドバシで注文しました。
当初、型落ちの2020/11製のものが安くなっていたので、そちらを注文しかけたところ、配送日が選べない設定になっていて、洗濯機だから?と思いつつ、配送・設置日が選べないのは困るなということで、2021/11製の同等品で注文しなおしたら、時間は選べないけれども日は選べる設定になったので、まあ仕方ないかと2021年製を購入することにしました。

今までの洗濯機たち:
1台目は今は無きサンヨーのit’sシリーズの4.5kg洗濯機。
洗濯槽のカビとの戦いに嫌気がさして、原理的にカビフリーのシャープの穴なし槽洗濯機、設置場所が狭いので比較的コンパクトな6kgサイズの
www.sentakuki.info
を2台目として購入。これは8年くらい保ったはずです。
3台目が、2012年末に購入し直近まで使っているこちら。
www.sentakuki.info
過去日記を見ると、2台目は「洗い」の段階で、

洗濯槽の水量を自動判定してくれなくなっているようで,放っておいたら洗濯槽いっぱいまで注水した上,そのまま洗濯の進行が止まってしまうという状態

https://lionus-old.hatenablog.jp/entry/20121228/p1

だったようです。
現在の3台目についても、最高水量設定で洗濯しようとしたら「洗い」の段階で洗濯槽いっぱいまで注水して、そのまま延々と注水し続けて洗濯過程が止まっている(ということは、同時に排水もしている?)という状態で、先代と似たような症状です。
以前と違うのは、水量をもう一段少ない設定に変えると、「洗い」が進行し、途中で最高水位設定に変えても、その次の段階「すすぎ」~「脱水」は正常に進行するところです。どうも最高水量設定の「洗い」がバグっているようなので、それより少ない水量設定なら何とか使えそうな感じなのですが、最近運転中にキーキー異音がするようになってもいたので、もう寿命かなと買替えることにしました。
2台連続して同じような症状で買替えになっているので、何だかなあという感じで、他のメーカーも試してみたい気持ちもあるのですが、カビの心配のない「穴なし槽」はシャープだけなので、次もシャープ一択になりました。

ソーシャルネットワーク時代の情報モラルとセキュリティ

「第1部 情報化社会とインターネットの仕組み」「第2部 ネット犯罪と法律」「第3部 情報セキュリティ」の3部構成です。
それぞれの内容は広く浅く、また図表もそれほどなく文章主体ですが、該当する法律の条文が割ときっちりきっちり抜粋掲載されているのは参考になりそうです。
また、それぞれのセクションに「アクティブラーニング」として「次の課題について、調べて発表してみましょう」と課題が提示されているのは本書を教科書に使って授業する場合には有り難いかもしれないです。