猫が歩いた近現代:化け猫が家族になるまで

p.209
 俗流「猫の歴史」本に書かれてきたように「日本人は昔からずっと猫をかわいがってきた」わけでは決してない。全体的に見れば、猫は人間に都合のいいように扱われ、さまざまなひどい目に遭わされ続けてきた。しかし、本書でみてきたように、日本の猫と人間の関係は近現代史のなかで大きく変化してきたのもまた事実である。猫の問題は人間社会の問題であり、人間社会は大きく変わりうる、変えうるものである。

猫を飼ったことのないlionus自身の記憶でも、昔は猫は家と外を適当に出入りできるような半ば放任のような飼い方をされていたのが、いつのまにか室内完全飼育するのが猫の適切な飼い方、とみなされるようになるなど、猫へのまなざしや扱い方が(大事にする方向に)大きく変化してきているなと感じています。
日本の明治維新前後あたりから現在まで、猫をめぐる歴史について整理し提示している本書は、そのような印象にしっかりとした裏付けと輪郭をつけてくれました。
そして猫を映し鏡にして、人間社会をも見る視点も提示してくれていて、なかなかに興味深い本でした。