セキュリティ心理学入門

bookway.jp

紙の本をご恵贈いただきました。内田勝也先生(セキュリティ心理学研究会主宰)、ありがとうございます。
さらに普段使い用に、kindle版を購入しました。
「(情報分野の)セキュリティ心理学」と銘打った本としては、恐らく日本で初めての本ではないでしょうか。
「おわりに」より:

 ただ、日本では、情報セキュリティは、技術的セキュリティであり、非技術的セキュリティは皆無に等しい状況が続いている。
 企業や政府・自治体の業務を担っているのは、コンピュータだが、それに多くの人達が関係しているが、非技術的セキュリティを推進する環境がないに等しいのが、日本の現状である。

その、非技術的セキュリティ=人的要素についての事柄を、心理学的視点から幅広く示した非常に貴重な本です。
(情報)セキュリティ心理学について取り組む際の羅針盤になるうる一冊と拝見いたしました。

東京大学の先生伝授 文系のためのよくわかる 死とは何か

死ぬとはどういうことか、ということを生物学の立場から解説し、後半は”死”の前にある老化について解説されています。
同じシリーズの
lionus.hatenablog.jp
と、ちょっとかぶっているというかコンテンツ一緒?と思うところもありましたが、こちらはこちらで、なかなか面白い豆知識が得られて楽しく読めました。

東京大学の先生伝授 文系のためのめっちゃやさしい 人体

公認心理士(社会福祉士精神保健福祉士も)の国家試験で医学一般(人体の構造と機能及び疾病)の科目がありますが、本格的に勉強する前ふりに読むといいかもしれないと思いました。
個人的には、自然免疫と獲得免疫の区別がついていなかったなと、本書を読んで分かりました。

東京大学の先生伝授 文系のためのめっちゃやさしい 宇宙

最近気に入ってぼちぼち読んでいる「東京大学の先生伝授 文系のための・・・」シリーズなのですが、対象が「宇宙」ってどんだけざっくりしてるの?笑えてしまうくらいのとりとめのなさが、かえって奇妙に興味をそそる気がしたので、こちらも読んでみました。
現在の物理学でいわれているらしい、宇宙のはじまりから今後ありえる終わりの有り様まで、この一冊で説明してくださっています。
宇宙のはじまりも「へえ~」という感じですが、そこから今後ありえる宇宙の終焉シナリオのあたりの話なんて、何が何だか理解できないながらも、何とか最後まで読ませてくれたのはすごい本だと思います。
lionusのように何が何だか理解できない人が大半だろうということで、後半はイラストが多用されているのだと見えましたが、こんな超絶な話をイラスト化してくれてマジありがとうございます、これがなかったらただただ訳分からんで終わっていたのでは??とも思いました。

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊

togetterのまとめを目にして、
togetter.com
こわいもの見たさ的に興味をもち、読んでみました。
成果主義」を本格的に導入した草分けとして富士通が有名だったのは何となく知っていましたが、新卒で富士通の人事部に配属された著者から見た富士通の「成果主義」導入とその後のあまりな内幕は、他の(日本の)組織にもあてはまる批判ポイントがいっぱいで、非常に示唆に富む本だと思って読めました。
まあ、やはり、ところどころでルー大柴の声で文章が再生されそうな気分はありましたが(笑

機械学習をめぐる冒険

電気羊とか、何かのSFをもじっているような感じですが、自分はそれらのSF名作を読んでいないので、元ネタが分かりませんでした。
でも元ネタが分からなくても本書を読むのには支障はありません。
数式を一切使わずに、機械学習(コンピュータにデータを食わせて学習させて人工知能を仕立てる←乱暴な書き方)をざっくり説明している本です。
数式が読める人には、かえって何が何だか分からない内容なのだと思いますが、数式を見たくない人(例:自分)には一定程度の効用はあると思いました。
時々耳にするけれどもそれなんだこれ?な言葉の意味が拾えたのはよかったです。

東京大学の先生伝授 文系のためのめっちゃやさしい心理学

先の記事にした
lionus.hatenablog.jp
東京大学の先生伝授 文系のためのめっちゃやさしい天気」が、すごく感じよかったので、同じシリーズの「心理学」版が出ているのを見て、一読してみました。
一応、心理学分野で大学院に行って臨床心理士公認心理師精神保健福祉士をもっている人間から見ても、かなりよく出来ているという印象でした。
本書の「東京大学の先生」は下山晴彦先生で、臨床心理学が専門の先生なので、臨床心理学に関する箇所の扱いが大きめかなとは思いますが、一般的な読者の興味を考えても、そんなに変なバランスではないと思いました。
いわゆる基礎系の心理学についても触れるべき事柄はしっかりと、初心者にも分かりやすい言い方で説明されていると思いました。
心理学に興味のある高校生には、大学進学先を考えるのに有益なヒント本になりそうな気がします。
もちろん、心理学に興味ある大人にもおすすめです。
ところで、本書でも聞き手は「さえない文系サラリーマン(27才)」で、「数学アレルギー」はついていないですが、先の「天気」版と同一人物のようです。テレビ番組とかで、若い女子アナとか女性タレントが聞き手=教えてもらう役として設定されているのをよく見ますが、どうもこのシリーズでは「文系」=教えてもらう役=あんまり頭のよくない人の代名詞?なのか?と一瞬モヤっとしたのですが、「文系」の女の子ではなく、挿絵からすると男性の「サラリーマン」で、しかもある程度は社会人経験のある「27才」というのが、従来からの教えてもらう役設定について、結構革新的なのでは???と思うと、一瞬のモヤりは消えました。
そういう点からすると、このシリーズはゆるい見た目の割には結構考えられている作りなのかも?とか思ってしまいました。