- 作者: 岡崎寛徳
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/06/28
- メディア: Kindle版
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ところが、本書では二人の遠山金四郎のことが書かれています。
一人目は、遠山景晋という人です。遠山家に他家から養子に入った後、幕府開催学問試験なるものを受験し主席となり、その秀才ぶりで頭角をあらわし、長崎奉行や勘定奉行をつとめるなど家格(遠山家)を超えた出世をしたそうです。この人は、その優秀さを買われて当時の蝦夷地に監察官として派遣されたり、日朝交渉の実務を担当したりしたが、筆まめな人でお仕事の記録を細々と書き残し本にするなど、なかなか面白い人だったようです。
二人目が、所謂桜吹雪の”遠山の金さん”こと、遠山景晋の息子、遠山景元です。
武士の家では名前を代々引き継ぐことがなされていて、この二人とも”金四郎”を名乗ったので、二人のことが書かれているということでした。
個人的な印象としては、前半に出てきたお父さんの景晋についての記述の方が面白くて、後半の息子景元については、若い頃ちょっとグレてたらしいけれども30過ぎてからは順調に出世して部下に大変慕われる町奉行になったよ、ということが淡々と記述されていて、”遠山の金さん”って実は・・・的な内容を期待していた向きにはちょっと退屈でした(笑)。
ま~”遠山の金さん”の虚実をそれぞれ書く、という意図は果たされているとは思います。
江戸時代の武士=公務員の生活とお仕事を覗く、という感じで読めば興味深い本だと思いました。
おまけ:
本書では二人の”金さん”に対する当時の人物評価について「急流勇退」という言葉が何度か出てきます。初めて知りました。よぼよぼになって役目をろくに果たせないのに役職にしがみつく人が多いが、十分にご奉公できなくなったな、と自分で判断してスパッと引退するのはさすが、と周囲の人から賞賛されていたようです。
急流勇退の意味 - 四字熟語一覧 - goo辞書