その病気、市販薬で治せます

本書を通読すると、実は本のタイトルだけをうのみにすると語弊がありそうな気がします。
ようは、薬局やドラッグストアにいる薬剤師(専門家)をうまく活用して、ちょっとした手当てなら市販薬を使って自分で対処することができますよ、という提案と拝見しました。
一般人が自己判断で市販薬を買ってそれで治せます、という話では決してないことに留意する必要があります。
そういった点を了解して読めば、どれも同じように見えブランドごとの違いがよく分からない解熱鎮痛剤(新型コロナの発熱とか、新型コロナワクチンの副反応への対処で必要ですよね!)の種類と、それぞれの特徴について、ざっくりした知識を得ることができたり、非常に参考になりました。
解熱鎮痛剤に限らず、その他の”病院に行かずにこっそり治したい(対処したい)”ものについての市販薬のお話とかも、興味深かったです。

イヌは愛である―「最良の友」の科学

著者先生は行動主義心理学にベースをおく動物心理学者です。
したがって、タイトルで「愛」とか言いながら、あくまで”禁欲的”に実験アプローチでイヌの行動を通じて、そしてときには遺伝学者との共同研究もおこない、心理学の中でのひとつの大きな論争テーマ、「遺伝」(系統発生)か「環境(経験)」(個体発生)かについての考察も加えながら、イヌと人間の関係について追求しています。
内容は、イヌがいかに人間のよき友であるか、著者先生の体験を交えながら表情豊かに書かれていますが、それと並行して自らおこなった実験や、関連する先行研究などもご本人の研究試行錯誤とあわせてがっつり書いてあるので、心理学研究のひとつのケース(流れ)としても読める、非常に面白い本でした。
本書では、「ウイリアムズ症候群」という疾病について著者先生が知ったことを機に、大きな転換をみせます。詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、ウイリアムズ症候群の患者さんがもつ遺伝的特徴の発見をキーに、

p.202
同じ遺伝的特徴を共有するイヌと人間の類似性をたしかめたいまとなっては、ありのままの事実を口にすることになんの不安もない。イヌは人間を愛している。

という結論に達したということです。
さらにそこから、「第7章 イヌをもっと幸せに」では、イヌと人間はどうしたらお互いに幸せに暮らせるか、ご自身のお考えを展開されています。

新型コロナワクチン大規模接種Web予約、兵庫県と自衛隊(大阪)について体験記。

まず最初におことわりしておくと、記事タイトルに「兵庫県自衛隊(大阪)」の2箇所書いていますが、

ということで、同一人物について二重に予約した体験記ではありません。

まず兵庫県の大規模接種会場Web予約について。
居住自治体から接種券が郵送で自宅に届いたのは7月5日でした。接種券は来たけれど、居住自治体の集団接種や各医療機関による個別接種の予約開始は、自分の年齢や条件(基礎疾患なし等)では2週間くらい先の話だし、この時期にはワクチン不足も報道されつつあり、また感染状況も徐々に悪くなりつつあったので、できるだけ早く予約を確保したいと、兵庫県の大規模接種(西宮)の予約獲得にすぐにチャレンジし、この日のうちに8月頭の1回目予約をゲットしました。在宅仕事の合間にちょこちょこトライ、トータル1時間半~2時間くらいでした。
特に奇策をとったわけではありません。
予約ページに接種券情報をもとにログイン(?)して、×が並ぶ予約カレンダーをリロードリロードで△(残りわずか)が現れた日付があれば即クリックでもぎ取りました。
リロードリロードトライ中、△には何度も遭遇しましたが、予約寸前までいってもとれないということが何度もあります。
なお、ログイン状態は20分ももたない(当たり前)ので、間が空いたら再度情報を入力する必要があります。
また、兵庫県では1回目予約したら2回目を予約する必要はありません(自動的に4週間後の同じ時間帯に仮予約される模様)。
ということで、このようにして予約した1回目の接種を先日受けてきて、4週間後の2回目接種を待っている状態です。

次に自衛隊(大阪)のWeb予約について。
兵庫県の予約サイトは、ちゃんと自治体の接種券番号と個人情報がひもついていて、また、兵庫県の大規模接種については(当たり前ですが)二重予約ができないようになっています*1
一方、自衛隊の予約サイトは、自治体番号と接種券番号と生年月日を入れてログイン(?)しますが、兵庫県とは違い、接種券番号と個人情報がひもついていない印象を受けました。自衛隊大規模接種開始当初に、でたらめな接種券番号でも予約ができるなど報道されましたが、現在でも同じかも?また、兵庫県と違い、ブラウザを開いたまま放っておいても、自動的にログアウト(認証切れ)になりません(さすがにPCを再起動したりシャットダウンした後には再度ログインしないといけませんが)。
接種券番号と個人情報がひもついていないということは、もし接種券番号の入力を間違えると、予約が取れたと思って会場に行ったら番号が違いますよ、あなた誰ですかということになりかねません。その場合に備えて生年月日も入力させているのかと思いますが、その生年月日も入力間違い(あるいはデフォルト値のまま次へ進んだり)したら、どうなるの?とは思いました。
前置きが長くなりましたが、自衛隊(大阪)について最近(この記事は8月9日に書いています)は、次の2つの方法がとれます。

  1. 随時発生するキャンセルを狙う
  2. 毎週2回、18時からの定例予約受付にチャレンジ

私はどちらも試してみました。
1のキャンセル狙いは、前述の兵庫県の予約サイトと同様です。ただ、自衛隊(大阪)の方がなかなか空き(△)が出ないな~という印象です。結局こちらでは取れませんでした。
2の方は、Twitterなどでも色々*2言われていますが、よほど通信環境が悪い、デバイスが古くて動作が遅いなど、ハードやネットワーク面でのマイナス要因がない限り、結局はだと思います。
結局、2の方法で友人依頼の予約をとりました。
予約開始18時の30分前から、通常の新規予約はできなくなり、最初の入力=自治体番号入れても待機画面になります。
17時半過ぎからパソコンでFirefoxから自治体番号入れて待機画面待ち。画面を見ると、識別番号なるものが付与されていて、十数秒ごとにリフレッシュしている模様。
この識別番号で随時抽選し、当選順に予約に進めるのだと思いました。
なお随時抽選、という(思った)のは、予約枠残数はリアルタイムで変化していくからです。
FFの別タブで同様に開いてみたけれども、同じ識別番号なので、IPアドレスとブラウザの種類でみているのだなと思い、Chromeで予約サイトを開くと、別の識別番号になったので、2画面開いて待機。
さらにiPhone(自宅wifi)でも予約サイトをSafariで開いて待機。
18時になった瞬間、順番に案内しているので待てという画面に切り替わる(FF、Chrome、iPhone3つすべて)。
すると、18時2分頃?iPhoneが予約できますよ的な画面になり、急いで接種券番号と生年月日を入れると(ここが一番慌てた)、カレンダーから日付を選ぶ画面に遷移。希望する日付をタップすると、時間帯を選ぶ画面に。それぞれの時間帯に現在○○人空きあり的なことが併記されています。希望の時間帯をタップすると、そこで予約完了。証拠のために、予約日時が表示されているこの画面をスクショして、ログアウトして終了。
接種券番号と生年月日を入れるところで結構モタモタしたのに、何とか友人希望の日時で予約がとれたので、一旦予約受付画面に入れたら、瞬殺ではないので、ある程度落ち着いて操作すれば大丈夫かなという印象でした。

*1:予約取れたら、会場予約カレンダーが見られなくなる;予約の確認/キャンセルぐらいしかできなくなる

*2:スマホよりもPCがいいとか、逆にスマホの方がつながりやすいとか、ブラウザはSafariはダメでChromeがおすすめとか、wifiはだめで4G回線、特にドコモ回線が有利とか、色々。

プログラミング言語大全

出版社による「書籍の概要」より

プログラミング言語の大全集! 100以上のプログラミング言語や処理系,関連言語を幅広く解説。C,JavaPythonPHPRubyJavaScript...主要言語はもちろんマイナー言語まで収録。初心者にも経験者にも楽しい一冊です。

本書では,数あるプログラミング言語の中から,広く使われているもの,歴史上重要なものを厳選して収録しています。プログラミングの世界を楽しみながら読んでいただけたら幸いです。

https://gihyo.jp/book/2020/978-4-297-11347-6

さまざまなプログラミング言語について、広く浅くそれぞれの特徴や用途等について書かれているだけでなく、FizzBuzzという、1から数を数えていきながら、3の倍数のときはFizz、5の倍数ならBuzz、15の倍数ならFizzBuzzと言うゲームを、プログラミングでどう記述するか、本書で取り上げている言語すべてについて書いているのがとてもよいです。言語により記述の仕方が(当然のことながら)異なるし、逆によく似ている言語同士も見て何となく分かるので、面白いです(参考になります)。
また、プログラミング言語についてずらっと列挙する前に、プログラミング言語とは何かとか、プログラミングとコンピューターの歴史とか、ざっと概説されているのもとてもよいと思いました。

カフェパウゼで法学を

書名だけみると法学系以外の人は関係なさそうに見えますが、Twitterで法学系でない(多分)先生が、法学系でなくても参考になるところが多いという感じのことをコメントされていたので、読んでみました。
確かに、書名通り法学系でないと参考にならないな~と思うところも多いのですが、ついこないだまで高校生(生徒)だった人が、4月1日を境に大学生(学生)としての振る舞いをしなくてはならなくなった!わけわからん!の困惑ギャップを、学生キャラとぱうぜ先生(著者先生)との対話も交えながら、こつこつとほぐしてくれる本です。

pp.3-4
 高校までの勉強では、先生が黒板に「覚えるべきこと」を書き、生徒はそれをノートに書き写していた。それなのに、大学では黒板を使わない教員も多いし、使う教員でも、そのままメモをすればノートが完成するような書き方はしない。
 この戸惑いの根源には、高校までの勉強と大学での学びにおける考え方の違いがある。
 高校までの勉強は「知識を伝える」ことに力点がおかれている。小学校・中学校・高校までの先生は、教員採用試験という試験を受けたうえで教壇に立つ〈発達段階に応じて勉強を教えるプロ〉である。そして、「教科書検定」というプロセスを経た教科書を使うことになっている。これは、文部科学省の説明によると「記述が客観敵で公正なものとなり、かつ、適切な教育的配慮がなされたものとなるよう」整えられた教科書である。言ってしまえば、「何を覚えるべきか」を十分検討して、現時点で「正しい」とされている事柄を書いているかどうかを念入りにチェックする教科書検定という手続を経た教科書を使って教えなければならない。その意味では、決まった答えがあるかのように整えられている。
 これに対して、大学ではどんな本を「教科書」として使うかは、講義を担当する教員が決めることになっているし、教科書を使わないで自分が作成したレジュメを配布する教員もいる。そして、高校までの先生との最大の違いは、大学での講義担当者の多くは〈研究しながら教育をするプロ〉、つまり研究者であることだ。

第1章のかなり早いところで、このように「教科書」を手がかりに高校までと大学との違いを書かれているのを見て、興味がアガりました。
続いて、時間(タスク)管理なども扱っているのも、非常に参考になります。
大学の右も左も分からない迷子の子羊段階から、それなりに大学には慣れて本格的なゼミが始まる3年生、卒論執筆する4年生、そして法科大学院や学校を出た後は・・・までぱうぜ先生のアドバイスが書かれています。
読みながら、この著者先生はまだお若いんだろうな~と思いました。
まだ学生だった頃の記憶感覚が残っているこの時期だからこそ書ける本ではないかと拝見しました。

英語独習法

発売後間もなくSNSで話題になり、また英語のよくできる友人も読書ブログで話題にしていたことから、読んでみました。
スゴ本ですけれども、結局、読んでほうほう、と思っても実行しない人が多そうな気がしました。
それは著者先生が本書で繰り返し言っていることにまさしく当てはまってしまうようで、何とも皮肉なような気がするのですが・・・
例えば:

p.18
 しかし、先に一言だけお伝えしておこう。少し前に人の記憶は脆弱だと述べた。特に、すぐ理解できて、斜めに読んで「わかってしまう」と、そのときにはどんなに感銘を受けても記憶が定着せず、すぐ忘れてしまう。理解に努力を要するものほど、情報の処理は深くなり、忘れにくくなるのである。(このことについては第8章で詳しく述べる。)

p.21
前置詞onの意味をいくら上手に解説してもらって、納得しても、実際に的確に、間違いなく使えることにはすぐに結びつかない。「知識がある」ことと「使える」ことは別なのである。

そうなんだよ。
どこかで誰かが、ビジネス系自己啓発本を「キャリアポルノ」と呼び、読んでも無駄!と斬っていましたが、最近はやりの何とか大学等のYouTube動画とか、わかりやすく解説してもらって分かった気になる、賢くなった気になる「勉強ポルノ」かもしれないなと連想してしまいました。
こんなことを書いている自分も、じゃあこの本で説かれている通り、英語独習を始めるのか?といったらどうだろうというのが本音です。
でもねーでもねー本書はそれだけにとどまらない衝撃的な本でした。
かつて自分も、(入学した)大学を志望したときは、どうやったら効果的に学習できるか(学習させられるか)知っている英語教員になりたいと思って、心理学と英語科教職科目の二股をかけようとしたので。まあ、中高の英語教員免許はとりましたが、英語と英語教育については有名無実、吹きすさぶ砂の底に埋もれ忘れられた遺跡になってしまいました。もう今や英語教育には興味はありませんが、そういえばあんなことを考えていたのだよな~と思い出しました。

p.154
教科書で習った定型文ではない表現のしかたで、自分のもっている語彙の範囲で基本的な単語を駆使して英語の文を作る練習をすることが大事である。単語が出てこないから、英語がうまく言えない、という人が多いと思うが、発想を転換して、知っている単語で、なんとか言いたいことを表現する工夫が大事なのだ。そのためには、日本語を単語レベルで置き換えるのではなく、言いたいこと全体を英語の発想で英語に置き換える習慣をつけていくことが重要だ。

英語教育の話になると、英語脳とか英語で考えるようにならないと、という人が出てくるけれども、どうやってそういうことができるようになるのか、結局のところ、何らかの理論に基づいた具体化されたノウハウが英語教授法の専門家からは示されていないような気がします(ともかく読め!聴け!しゃべれ!のイケイケゴリゴリな方法しか示していない気が;自分の知見が狭いだけかもしれないです・・・すみません)。著者は、認知心理学をベースに自分なりに編み出した?方法を、スキームという概念をキーワードにして、ある程度のノウハウに落とし込んで示しているところが、本書のすぐれている点だと思います。
が、同時に、認知心理学を専門とする著者が自分なりに実践している内容を紹介している、個人的実践(N=1)のお話であり、英語教授法研究の話ではないよねとも思いました。
まあ、(英語教授法を専門としない)認知心理学者が英語独習法について語っているのだとしっかり認識して読めば、全然問題のない、非常に興味深い本であることは確かです。
これこそ、有用な応用心理学の書だね!とアツく思いました。

バグは本当に虫だった

本書は一応、バベッジの解析機関とかコンピュータの黎明期から話を起こしていますが、
以前記事にした
lionus.hatenablog.jp
に比べると、1960年生まれの著者が、ご自身が同時代的に経験してきたパソコンやインターネットまわりの歴史をトリビア風味で語っておられるという印象でした。
1980年代からパソコンを使っていたり、所謂”インターネット老人会”に属するような層には、思い出話に属するような話題が豊富です。
いやあなかなか面白かったですね。広く浅く書かれているので、当時を知っている人には大したことは書かれていないように思えるでしょうが、個人的には村井純先生やばいっすよ!とびっくりするようなお話もあったりしました。
牧歌的な時代だったんですね~